7: ◆zPnN5fOydI
2016/10/30(日) 14:41:30.46 ID:JntGMmXe0
唐突に出てきた『朝潮』の名前に、明石は硬直する。しかしすぐに我を取り戻し、霰の話に、真剣に耳を傾ける。
「大潮姉さんは提督の説明で納得したんですけど、今度は満潮、荒潮、霞姉さんがそれに嵌ってしまったようで。
あ、私はそういうのあまりないんですけど・・・」
明石は、自殺未遂を図った時に、提督が病院で言っていたことを思い出す。
彼女たちは以前に納得してくれた。次、疑問を抱くのなら、その時は、その時考えると。
そして、その時が今来たのだ。大潮型は決して納得していない。
「あの、明石さん」
「ん?」
「あ、いや・・・なんでもないです」
明石の表情が暗く、思いつめたように見えた霰だったが、何かしらの考え事だろうと思い、それ以上は触れなかった。
「あ、もうすぐ休憩終わりだね。職場に戻ろうか」
「はい」
支払いを済ませ、店を出て、職場へと向かう。霰の頭には、次の仕事のことが占めている。
一方明石は、近いうちに提督と会い、話すことを考えていた。
病院で提督の話を聞いたからといって、明石の考えは揺るがない。
朝潮は、姉妹の幸せを常に願っていた。我々も、残された大潮型姉妹のこれからのことを考えるべきだと。
知らない方が良いこともあるのだと。
それは違う。戦争を共に過ごした姉妹のことを知らないのこそ不幸だ。明石は常にそう思っていた。
そして今、その明石が願ってきたことが成就するチャンスなのだ。
朝潮型の残された姉妹に、本当のことを伝えることができるかもしれないのだ。
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