過去ログ - 鷺沢文香「とりっくorとりーとor……?」
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11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2016/10/31(月) 22:54:38.75 ID:Yzl0qw5G0

「一思いにやっちゃってくれ。痛みとか気にしなくていいから」

俺はぎゅっと目を瞑る。

…………。

………………………。

………………………………………………。

待てども暮らせども、痛みどころか、指が文香に触れる感触すらないので、おそるおそる薄目を開ける。

文香は何か躊躇しているようで、しきりにこの部屋の入り口をちらちらと見ては視線を泳がせている。

ああ、そうか。

吸血鬼と言えども、その衝動を抑えてきたから人間の血を飲むことに抵抗があるんだろうか。

「文香、大丈夫か?」

「…はい」

「俺はいつでもいいから」

「………はい。……では」

遂に腹を括ったのか、文香はぱくりと俺の指を咥えた。

生暖かい感触が人差し指いっぱいに広がった。

根元から第一関節辺りまでを、ゆっくりと舌が這い、背筋がぞくぞくする。

目を瞑っているため文香がどんな表情で、俺の指を咥えているのかは分からない。

ただただ、文香の舌が指を這い回る艶めかしい感触が伝わってくるのみであった。

付け根。

指と爪の間。

指の輪郭に沿って、舌は這う。

しかし、痛みは一向にやってくる気配がない。

どうしたのだろうか。

そう思って、またしても目を開くと、林檎のような顔で涙目になって指を咥えている文香が。

あ………。

これもしかして。



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