過去ログ - 花丸「おらの幼馴染がこんなにも可愛い」
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1: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:35:31.18 ID:KJmSVL5go
私の名前は国木田花丸、図書委員である。
今日もこうして私は図書室のカウンターに座り、この聖地の秩序を維持すべく努めている。
しかるに、図書室の秩序とは何か。

善子 「ヤッホー、ずら丸、見て見て、この黒い羽……」

花丸 「……」

善子 「ごめんなさい」

そう、静謐である。

図書室はおしゃべりをするところではない。本を読むところなのだ。
ここで発してもよい言葉は「服に値札ついてますよ」と「頭にカメムシがとまってますよ」だけだ。


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2: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:38:53.26 ID:KJmSVL5go
もしそれ以外の言葉を発する不届きな輩がいれば、私は無言の威圧によりかの女のお口のチャックを閉める。
それでも口をつぐむことができないなら、吹き矢を使うことも辞さない。
吹き矢を浴びてもまだ喋るのをやめないようなら……ああ、語るもおぞましいような手段を採らざるをえまい。
コブラツイストとか、ジャーマンスープレックスとか、いずれにせよ、そういう横文字のプロレス技をかけるしかない。

以下略



3: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:39:53.44 ID:KJmSVL5go
かの女は沈黙している。
ずらアロー・シュートを浴びることを恐れているのである。

善子 「……」

以下略



4: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:42:08.01 ID:KJmSVL5go
そういえば善子ちゃんは、私が敬愛してやまない太宰センセの本名と同じ、津島姓である。
うらやましいかぎりである。
国木田センセと同じ姓に生まれたことはもちろん嬉しいのだが、津島姓も情緒にあふれていると思う。
それにもかかわらず、頭が少なからずプリティー・ボンバーな善子ちゃんは、自分の名前が地味であるなどとほざいてヨハネと名乗っている。
これは敬虔なキリスト教徒の方々に対する冒涜であり、そして何よりも自分の名前に対する冒涜であると言わざるをえない。
以下略



5: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:43:09.75 ID:KJmSVL5go

おや、善子ちゃんが私のことを怪訝そうに見つめ返してきた。
きっと「そんなに私の名前がうらやましいの?」と考えているのだろう。

花丸 (そうだよ、マルは大好きだよ、津島っていう苗字も、善子っていう名前も)
以下略



6: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:43:42.15 ID:KJmSVL5go
この微笑み……私に何を伝えているのだろうか。
まさか、

(私と結婚すれば憧れの津島姓になれるのよ)

以下略



7: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:44:47.84 ID:KJmSVL5go
すみれ色の瞳が、心配そうに揺らめいた。
きっと、

(怖がることはないよ、マイ・スイート・ハニー。
ヨハネと一緒に、堕天しましょ?)
以下略



8: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:46:02.61 ID:KJmSVL5go
善子ちゃんは、何かを察した様子で立ち上がり、カーテンを閉めた。
噫! これまでの遠回しなジェスチュアーに較ぶれば、今の動作は何と直截にして明白な情交への誘いであろうか。
早鐘のように鳴っていた私の心臓は、度重なる善子ちゃんの蠱惑の乱打に耐えかねて、今や割れんばかりである。
図書室での情事……歴史上、これほどまでに背徳的なシチュエーションがかつてあっただろうか。


9: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/11/02(水) 01:47:29.90 ID:KJmSVL5go
除夜の鐘の音は煩悩の数を表すと言われているが、たとえ何百回鳴らされようと、私の内なる煩悩が滅却されることはないだろう。

しかし、それでよいのかもしれない。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
無常ということは、何も無い事ではない。
以下略



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