過去ログ - 「死屍累々、全てを呑み込むこの街で」
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48: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/11/18(金) 20:43:12.44 ID:ATlKM0yd0
一方、時計台がある公園に、ミゼルと呼ばれる男がやってきました。

合流したのでしょうか、黒フードの彼らも揃っています。

彼が一人にあれを出せ、と言うと、何処かで見たような刃が現れました。

これは以前男が焼き殺した勇者が持っていた剣の刃です。彼らはそれを回収し、ずっと呪いを込めつつ研ぎあげていたのでした。

幾重にも呪いを込めたその刃は、例え鉄の塊でも豆腐のように貫くでしょう。

彼はその錆びついた剣を、そっと手を添えて優しく掴みます。

「ミゼル……」

「……これで終わりだ。ありがとうな、お前ら」

彼はその切っ先を躊躇なく自分の腹に突き刺しました。

それは音も無く腹を貫き、血がゆっくりと滲み出してきます。

あまりにも鋭すぎるせいで、身体の認識が遅れているようです。

三秒ほど経過し、彼に熱した鉄棒で腹をかき回されているような激痛が走りました。おまけに呪いがその痛みを増長させています。

黒フードの子供達は、心配そうな声を上げます。

「アア……ッ!!」

ミゼルは血走った目を刃に向けると、ぶつぶつと呪文を唱え始めます。

勇者の刃に禍々しい気が発生しました。おそらく、彼が自分を生贄に最後の呪術を掛けているのでしょう。

彼は震える腕で切っ先を地面に向けると、手を放しました。


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