4: ◆rha/UmkIZ2
2016/11/06(日) 13:08:50.73 ID:YWnjs67B0
ある夏の日、私はオーディションを受けることになった。そのオーディションは大手プロダクションであるCGプロが主催しており、所属アイドルのPVを撮るためのエキストラ募集……という名の新人アイドルオーディションだった。大きな役ではないにしろ、もし受かることができればアイドルになるための大きな一歩を踏み出せることになる。
私は、これまでにないほどレッスンに力を入れ、寝る間も惜しんでオーディションに向けて練習をし続けた。この頃からだろうか、『頑張る』という言葉が口癖のようになったのは。
自分の全力を出すことができた。
素直にそう思った。
人生の中で最も身体が軽く軽快に踊り、自分の身体を突き抜けるような声が出て、最高の笑顔を振りまくことができた。
合格者は、当日発表されることになっていた、そのままプロダクション入りをするためだったのだろう。
[合格者]
小日向美穂
城ヶ崎美嘉
速水奏
そこに、私の名前はなかった。
合格者は偶然にも自分と同い年の子だけだった。
私なんかには無理だったんだ。
そんな思いが胸を締め付けた。
きっとアイドルになる子には素質があるから、私にはなかったんだ。
そんな言葉で逃げようとしていた。
両親や、かつての養成所の仲間たちに結果を聞かれた時、「次頑張ります」なんて言って逃げていた。
『悔しい』
この感情を私は人生で初めて理解した。
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