23: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2016/11/08(火) 09:27:54.99 ID:i56WKjGq0
「気を取り直して、準備をしましょうか」
ありすちゃんが持って来た袋を開けていく。
中に入っていたのは、ありすちゃんが担当していたオードブルだった。
それも、かなり豪華な。
「あの、なんだか予算と中身が合っていないような気がするんだけど……」
「社長のおかげでこうなりました。
まぁ料理に罪はありませんから、貰えるものは貰っておきましょう」
みんなで配膳を手伝って、飲み物が行き渡ったところで、ありすちゃんがみんなの前に立った。
「今回は961プロ主催の企画に参加してくれて、ありがとうございました。
ライブも成功しましたし、私もみなさんと過ごせて楽しかったです」
「私も楽しかったよ!」
夕美ちゃんの合いの手に。笑いがこぼれる。
「次の機会もありますが、それも数年後です。今日で『アインフェリア』の活動は一区切りです。
だから、このユニットで活動したことの記念になるようなものを用意してきました」
ありすちゃんが鞄から袋を取り出して、一人ひとりに手渡していく。
「これは……」
「シロツメクサの指輪に花冠だね! これって……造花かな?
かなり本物に近いよ」
「さすがに造花は買いましたけど、編むのは自分でやりました。
造花なら枯れることもありませんから、ずっと残しておけると思って」
手元にあるのは、あの時つくったものと変わりないアクセサリー。
「綺麗にできたね、ありすちゃん」
「藍子さん、ありがとうございました。
私はこういうことに慣れていないので、藍子さんに手伝ってもらったんです」
と言っても、私がしたのはお店の紹介だけだ。
そこから先はありすちゃんが1人でしていた。
だから、私も出来上がったものを見るのは今日が初めて。
「文香さんも、気に入ってくれましたか?」
「……その、どう言い表せばいいのか分かりませんが……嬉しいです。
ありがとうございます。ありすちゃん。
……ありすちゃんから貰ってばかりで、どうお返しすればいいのか。申し訳ないのですが」
「アイドルとして先輩なのは私ですけど、人生の先輩は文香さんです。
私はいつも頼りにさせて貰っているつもりですけど……それじゃ、ダメですか?」
「……そう、ですね。これからも、よろしくお願いします」
「はい。これからも一緒に頑張りましょう」
「ありがとう、ありすちゃん。
イベントの間はいろいろと助けてくれて、最後にこんなに素敵なプレゼントをくれて。
でも、大丈夫だった……? これ、とてもいいものを使ったんじゃない?」
「……あの。みなさん、ひとつ大事なことを忘れていませんか?」
ありすちゃんが不満そうな表情で私達をぐるりと見回して、言い放った。
「私だって、セレブなんですよ? この程度で心配されるなんて心外です」
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