3: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2016/11/08(火) 09:17:07.22 ID:i56WKjGq0
聞こえたノックの音に会話が途切れた。
「おはようございます。みなさんお揃いですね」
「……おはようございます」
ドアから入ってきたのは、ありすちゃんと髪の長い綺麗な女性。
あの人は――
「おはようございます、ありすちゃん。あの、文香さんは古書店の店員さん、ですよね?」
「……あぁ、あの時の。お買い上げいただいた小説は、いかがでしたか」
「いい雰囲気でした。静かに物語に浸れて。
またお店でおすすめの本を教えてくださいね?」
「機会があれば、ぜひ」
「……お2人はお知り合いでしたか」
「あっ」
ありすちゃんの声で、文香さんとの会話に夢中になっていたことに気づいた。
文香さんもばつの悪そうな顔をしている。
「まぁいいです。むしろ喜ばしいことです。
それはそれとして、説明をしますから適当な席に座ってください」
ありすちゃんが持ってきたノートパソコンをプロジェクターに繋ぎ、スクリーンを下ろした。
動作を確認したあと、照明を落とす。
「改めまして、私は『961プロダクション』の橘ありすです。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
ご存じの通り、『961プロダクション』では一定以上のアイドルに大きな権限が与えられていますので、このユニットに関して企画運営は私が中心となって行います。
私が幼いため不安に思われる部分もあるかと思いますが、プロダクションのスタッフによるバックアップは万全ですので、ご安心ください」
ありすちゃんが961プロの組織について簡単に説明していく。
961プロにもプロデューサーは居るが、面倒を見ているタレントは全体の半分にも満たない。
残りは黒井社長の直属となり、セルフプロデュースに近い形で活動をしている。上に行けば行くほどその傾向は強い。
とは言っても、方針について黒井社長と相談することは出来るし、業務に関しては全面的に961プロの社員さんを頼ることができる。
望めばプロデューサーの下に付くことも可能……らしい。
「さて、この5名で行うのは『PROJECT CINDERELLA GIRLS』内での合同ユニット企画……今回はその第3弾です。
主な活動内容としては、ユニットでのライブとそれに向けたPV撮影などになります。
コンセプト曲は『生存本能ヴァルキュリア』。こちらのデモは既に聴いていただけたかと思います。
この戦乙女や女神をイメージした曲を中心にライブを組み立てていきます」
ありすちゃんの言葉に、全員が頷いた。
この合同ユニット企画は各事務所の持ち回りで行われている。
コンセプトの決定、メンバーの募集、曲の提供を行うのは主催する事務所だ。
今回961プロから資料と一緒に送られてきたのは、ありすちゃん、楓さん、アーニャちゃんが歌った『生存本能ヴァルキュリア』だった。
961プロの誇るAランクユニット『フェアリー』をこんなところに使うという豪華さに、プロデューサーさんと一緒に驚くと同時に呆れたことを覚えている。
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