過去ログ - 【ペルソナ5 佐倉双葉SS】ケスラー・シンドローム;Surrender
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:16:30.57 ID:GQKrCOd/o
 わたしにできるのはそのぐらいだ。いやもっとあるか。

 ならお父さんってもっかい呼んでみるとか……?

 いや、それは恥ずい。それに、なんとなく安売りしたくない言葉だ。とまあ、わたしはこんなムズカシイ年頃なのである。
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:18:30.63 ID:GQKrCOd/o
 さすがに小学生よりは精神的に成熟しているからか、わたしの特異性をあまり大っぴらにしてないからか、あの頃のような明らかな嫌がらせはないし、流暢ではないにしろクラスの子と世間話のようなことは一応できてる。と思う。できてるよな?

 ただ、大半の授業がツマラナイ。世界史や地理なんかのあまり自分で調べたりしたことのない、知らないことを教えてくれる授業はまだいい。別にそんなに興味もないけど。

 問題は数学に代表される理数系科目だ。一年間の独学でなんとかしてしまったことを、数十倍に薄められて長い時間に溶かされているような感覚だから授業が異様に長く感じる。あくまで独学だったので、知っていることの中に新発見がないこともないというのが救いか。
以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:19:26.98 ID:GQKrCOd/o
 今日の思考は、最近ハマった古いSFアニメについてだ。宇宙で暮らすサラリーマンとか切り口が斬新すぎる。それに、考えさせられる台詞や展開がいくつもあった。あれは名作だ……。

 考えている間に目的の駅に着いた。ヨユー。嘘、ちょっと混み方がいつもより酷くて苦しい。激流に呑まれるようにして押し出される。

 最近では慣れてきて、流れに逆らおうと一切しなくなったからちょっとだけ楽になった。最初の頃は電車を降りてから、駅の隅にうずくまってしばらく動けなかったものだ。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:20:44.56 ID:GQKrCOd/o
 抑圧された地下の駅から解放されると、陽射しにおもわず目を細めた。

 てくてく歩いていると、通学路での途中で変なものばかり売っている自販機を見つけた。

 これまで何度も通っていたはずなのに、今まで目に入るだけで見過ごしていたらしい。胡椒博士NEOとは、かなり惹かれる飲み物ではないか。今度買ってみよう。この自販機はたぶん前から変わってないけど、新しく発見したことでわたしの世界がまた少し広がった。
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:21:55.05 ID:GQKrCOd/o
 おしなべて世はすべてこともなし。わたしの世界は、今日もいい天気だ。ぽっかりと空いた大きな穴は埋まらないままだけどね。

 進んで檻に向かう囚人のような学生の群れに混ざり、わたしはこうして秀尽学園へ向かうのだった。


以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:22:48.95 ID:GQKrCOd/o
「えーいいじゃん別に」

 なんとなく仲良くしているこの子は、わたしと違って社交的で友人も多いようだ。なのに、ナゼかわたしに積極的に話しかけてくれて仲良くしてくれる。

 入学式でアワアワしているわたしに最初に話しかけてくれた子でもある。理由を聞くと、なんかほっとけなかったから、との答えが返ってきた。わたしは子供か。子供だな、うん。年上だけど。
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:23:51.00 ID:GQKrCOd/o
 記憶力や計算能力なんかが同世代の子たちとまるっきり違うのは幼い頃から理解していた。逆に、何故こんなことができないのかと昔は思っていたような気がする。

「あー、だよね。普通の子と雰囲気違うもん」

「え、マジ? わたし溶け込めてない?」
以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:24:33.74 ID:GQKrCOd/o
 そうじろう特製のお弁当をつつきながら無駄話もとい世間話を続けた。この卵焼きウマイなー、さすがそうじろうだ。

 彼女の話すわたしの雰囲気がどんなものかはよくわかんないけど、俗っぽくないかぁ。

 実はちょっと前まで賊っぽかったんだけどね!
以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:25:21.42 ID:GQKrCOd/o
 わたしの思い出の中のお母さんはもう、怒ってない。悲しんでない。わたしを責めたりもしない。優しく笑ってくれてる。だからわたしは、こうしていられる。

 本当に、何もかもがみんなと、怪盗団と出会えたおかげだ。あとそうじろうと、お母さんと、特に……リーダーのあいつ。今では、か、かか、カレシ的な? カッコイイやつだ。今ごろ何してるのかな。

 そんなことを考えながらお弁当をつついていると、なんだか急に会いたくなってきた。毎日やり取りはしてるけど、帰ったらすぐ連絡してみよっと。
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:26:29.10 ID:GQKrCOd/o
 元怪盗団の金髪コンビ、杏と竜司だ。

 高校に入学してから会うのは初めてではないけど、一人じゃないときに会うのは初めてかもしれない。

 毎度のことだがこの二人はよく目立つ。今日もホルス並に金色に輝いている。それは言い過ぎか。うおっまぶしっ。
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/08(火) 22:27:17.07 ID:GQKrCOd/o
 ガックリと肩を落とす竜司を見ていろいろと察した。人のこと言えるのかって話ではあるけど、元怪盗団メンバーで将来どうなるのか一番不安なのが竜司だ。生活に困ってリアル怪盗行為は勘弁。

「……あ、お友達? ごめんね呼び止めちゃって」

 杏がわたしの横にいる一年生を見て柔らかく微笑んだ。上級生の余裕を感じる。わたしもこの子よりは年上のハズなのにこの差はなんだろう。身長か? 理不尽!
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