過去ログ - 【ペルソナ5】死がふたりを分かつまで【佐倉双葉SS】
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名無しNIPPER
[saga]
2016/11/12(土) 06:42:01.82 ID:H7UNpSmB0
真も惣治郎も、慰めるよりも驚きに呆気に取られていた。
それは十六歳の少女の泣き方ではなかった。
もっと幼い童女のような泣き方であった。
子供が我慢の末に感情を爆発させてしまったかのようであった。
「ぁっ、あ、ぁ、あああぁぁぁぁッ」
眼鏡を外し、両手の袖で乱暴に目元を拭っても、溢れる涙は一向に止まらない。
しゃくりを上げ、肩を震わせ、瞳から溢れる涙の量と熱さに双葉自身が戸惑っているようだった。
人は年を取るにつれて「年齢に相応しい」泣き方を無意識に身に着ける。
人と関わり、社会と関わって行くうちにそれは自然と学ぶことであった。
字を覚えるより、自転車に乗れるようになるより、身だしなみを気遣うより、もっと当たり前に、そして平等に習得していくことだ。
しかし、双葉のそれは異なった。
泣き方を忘れてしまった、ただ悲しみを身体の奥底に押さえつけ、耐え忍ぶことを強いられてきた子供が、耐え切れずに泣き叫ぶ姿がそこにあった。
人と関わらず、人に関われず。
社会を拒絶し、社会に拒絶され。
そんな子供が感情を爆発させたかのような痛々しい姿に、真は堪えきれず双葉を抱きしめた。
「な、んで」
「うん」
「なんで、…っちゃうの?」
真の胸に縋り付きながら、双葉は見上げる。
揺れる瞳からは絶えず涙が溢れ、擦り過ぎて赤くなった目尻から零れ頬には幾重にも泪の軌跡が刻まれていく。
悲しみに顔をくしゃくしゃに歪め、双葉は真に訴えるような眼差しを向ける。
「な、っで、あきらまで、おいてっちゃうの?」
双葉を気遣わしげに見つめていた惣治郎が息を呑む。
若葉 ―― 双葉の母親のことを言っているのだと、真にもすぐに察しがついた。
大切な人間に彼女は再び置いて行かれたのだ。
「わた、し、たよりない、から?」
「双葉…」
「フツーじゃ、ないから?だから、お、おいて、ったの?」
「そんなことない、そんなのことないよ双葉」
真の胸が苦しくなる。
仲間の為に身を捧げることとなった暁の事を思って苦しかった胸の内が、双葉の悲しみに気付き更に締め付けられるような痛みを訴える。
幼気な嗚咽がルブランを埋めていく。
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