過去ログ - 高垣楓「私、猫になりたいんです」
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110:名無しNIPPER[saga]
2016/11/12(土) 20:27:50.65 ID:1sM9NdHQ0
サバはぺろりとご飯を平らげて、軽やかに跳躍しました。
軽快な歩幅でガラクタの山を通り抜け、
窓辺からじっとガラス越しの空を見上げます。
その外には途方もないほど広い世界。
辛いことも楽しいことも沢山ある、ガラスの向こう側。
部屋の隅で泣いていた小さな私が顔をあげました。
手の甲で涙を拭い、立ち上がります。
ガラクタの山を飛び越えて、サバのすぐ隣にちょこんと座りました。
二度三度、こわごわと撫でてから。
彼女は私へと向き直り、にへらっと笑うのでした。
左右の色が違う、金目銀目を輝かせて。
遠い記憶の幻は、そのようにして朝の光に溶けて消えました。
サバは窓ガラスに前足を当て、懸命に引いています。
私はガラクタの山をよっこいしょと越えて、サバの隣へ座り込みました。
白い毛並みをゆっくりと撫でます。
「きみは、外に行きたいんだね」
瞳の色が他の誰かと違っていても。
その事で傷ついたとしても。
嘘を吐かず、ありのままの姿で、外へ出る事を望むんだね。
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