過去ログ - 【咲安価】京太郎「一狩りいこうぜ!」
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名無しNIPPER
[saga]
2016/11/13(日) 23:34:30.69 ID:8bY3GBZL0
見送り後、俺たちは飛行機に乗り込みそれぞれ席に着く。
チケットに番号は書いてあるがほぼ貸し切りの今それはほぼ関係ないに等しい。
皆自由に席に座っている、そしてそれは俺の身内も例外ではない。
咲「京ちゃん、隣座るね?」
京太郎「おう、こいこい。」
優希「むむむっ、なら私は正面だ!お前の眠りこけた間抜け面をじっくり堪能してやるじぇ!」
京太郎「俺が寝る保証がどこに……まぁ、良いけどよ。」
和「では私は優希の隣で咲さんの正面に……結局いつも通りですね。」
優希「おっ、打つか?打つか?」
京太郎「悪くはないけどたまには麻雀から離れようぜ、なんとなくゆっくりしてーし。」
咲「そっか……うん、私もそう思うかな。実は最近麻雀尽くしで買ったは良いものの読んでない本がたくさんあって……。」
夏は俺たちにとって三回目のインターハイ、その後は受験も控えてる。
だが下手に焦ったりせず休めるときはしっかりと休む、メリハリ大事。
俺と咲の言葉に微笑む和、どうやら同意してくれたらしい……一方優希は少々考えてから笑って頷き持参のタコスを貪る。
そうこうしてる間にいよいよフライトの時が来たのか、機長からのアナウンス。
なんとなくぼんやりと聞いていると不意に手が握られる、驚いて顔を向けると不安げな咲の表情。
京太郎『どうした?』
小声で聞くと俯き気味に咲は答えた。
咲『……なんだか、胸騒ぎがして……き、急に落ちたりしないかな?』
京太郎『……このお姫様は毎度残念というか何というか、成長したのは髪の長さだけか?』
咲『ち、ちがうもん……ほんとに急に不安になって……。』
咲にどれだけ胸騒ぎが起ころうと、不安になろうと問答無用で動き出す俺たちを乗せた旅客機。
振動にビクンと震える華奢な手をしっかり握ってやる、大丈夫だぞと伝える様に。
……だがまさか本当に咲の不安が現実になるとは、俺は夢にも思わなかったのである。
旅客機が飛び立ってしばらく経った、俺の寝顔を堪能するとか言ってた優希は逆に俺の前でグースカ眠ってる。
隣の和も結構グラグラ来ている様子、しかし俺と咲だけは違う。
とっくに離陸して航行も安定しているのに、咲が手を離そうとしないからだ。
京太郎『咲、どんだけ心配性なんだよ……。』
咲『だって……。』
まぁ咲は昔から変なとこがあるし、オカルト的な力は俺らの中で群を抜いて高いわけで……。
そんなオカルトちっくな力が、妙な感覚を発揮しててもおかしくはないっちゃないが。
けどどうにも今の状況から危険なことになるビジョンが浮かばない。
−−−−っとその刹那、強い揺れと共に警報とアナウンスが流れる。
驚いて飛び起きる優希、合わせて意識が覚醒する和。
そしてより強く手を握りしめる咲……。
「なんだなんだ!?」
「やだうそ、事故なの!!?」
「皆さん!落ち着いてください!」
混乱する生徒たち、何とか呼びかけて落ち着かせようとするCA。
数多の人々の思考が入り乱れて、混沌とするこの場で俺は逆に落ち着いていくような感覚を味わっていた。
皆が顔を見合わせてバタバタし、咲も恐怖からか俯き、俺以外誰も本当の意味で周りを見れていない。
そんな中、俺は確かに見たのだ……向かって右側の方角の窓から。
巨大な黒いモヤの中不気味に輝く、無数の碧の光を。
それを見てようやくゾッとした恐怖に飲まれかけた瞬間、再び大きな揺れと共に旅客機の高度が下がっていくのがわかった。
悲鳴と祈りの叫びがこだまする中、唐突に繋いでいた手の感覚がなくなった。
俺が気づいた時には、乗っていた旅客機がバラバラになりだしていたのだ。
優希「き、京太郎!!?」
和「須賀君!!?」
咲「いやだ!だめぇ!!京ちゃーんッ!!」
京太郎「……え?う、うわーーーーーーーーーーッッ!!?」
そして運が悪いというべきなのか……真っ先に俺の座っていた席は旅客機から零れ落ちて、投げ出された俺は宙を舞った。
ああ、こんなことになるなら……咲の言ってた事、ちゃんと信じてあげりゃよかったな……ごめんな、咲。
薄れゆく意識の中で、俺は最後に見たあいつの泣き顔に今更な謝罪をした。
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