過去ログ - ダイヤ「大変ですわ! 花丸さんが……!」
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◆tv.yDBBdhs
[sage saga]
2016/11/19(土) 11:08:33.50 ID:o6gllI6+0
湿気に満ちた生温い潮風が薄黄色のカーテンを揺らしている。その影は古びた床にぼんやりとしたコントラストを作る。教室には掛け時計の秒針の音だけが響いていた。
長い髪を頭の後ろに束ねた少女が私の顔を心配そうに見つめている。眉間に皺を寄せた表情からは大きな不安が見て取れる。
静寂を破ったのは、つい先ほど教室を飛び出した彼女が引き戸を開ける音だった。
「どうです、花丸さんの様子は……」
ぜえぜえと息を切らす様から、此処までどれ程の速さで走って来たのかが窺い知れる。校内を走る女生徒に対し生徒会長である彼女が口煩く注意する光景は今まで何度も目にしたはずなのだが。
正面の席に座る果南さんは無言のまま首を横に振る。
「そうですか……」
がっくりとうなだれるダイヤさんも私を案じているのだろう。
「ねえダイヤ、一体花丸がどうしたって言うのよ」
まるで状況が捉えきれないといった顔で鞠莉さんが訊ねる。彼女に関しては不安や心配よりかは困惑しているといった表現がよく似合う。
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