4:名無しNIPPER[saga sage]
2016/11/21(月) 01:20:20.71 ID:qp6qHFAo0
初月「……?どういうことだ?」
提督「そのままの意味だ。疑問を差し挟む余地すらないほどにな」
初月「何をいっている!……秋月姉さんも何か言ってやってくれ!」
秋月「…………」
初月「姉さん!」
秋月「ごめん……なさい……」ウルウル
初月「……何を……言って……?」
提督「理解できないのか、それともしたくないのか……」
初月「そんな……馬鹿な事を!こんなの、ただの麦飯じゃないか!それがどうして……!?」
提督「クックックッ……その麦飯、美味かっただろう?」
初月「それは秋月姉さんが努力して色んな配合を試しているからで……。だからいつも美味しい麦飯を……はっ!」
提督「ふむ、貴様は察しがよくて助かるな。そうだ、美味かっただろう。毎日、いつも、変わらず」
提督「この麦飯には米粒麦という、麦を一粒一粒削って、米粒と同じ形にしたものが使われている」
提督「つまり、時間経過によって水分が蒸発し、削っている分酸化も早まる。もし既製品なら、日ごとに味が落ちてしまうということだ」
初月「そ、それがないということはつまり…………そんな……」
秋月「て、提督に頼んで、精米所と精麦所を建ててもらったの……」
初月「うえぇぇぇっ」ゲフォッ
提督「ハハハハッ!分かったか、初月!貴様が食べている麦飯は、最新式の設備を以てして作り出される最高級品だったのだ!」
初月「だ、だが一度建ててしまえば……」
秋月「ご、ごめんなさい……。実はこの前新しい機械が発売されたから……」
初月「うわぁぁぁぁっ!」
提督「ちなみに、美味い麦というのはあまり生産されていないからな。秋月は農家と契約して畑ごと購入している」
初月「そんな……そんなぁ!」
初月「で、でも!それ以外はどうだ!?お漬物、お漬物だ!」
提督「ふむ、確か……」
秋月「わさび漬けになります」
初月「そう、わさび漬けだ!僕は知っているぞ!あの独特のアブラナの花の様な匂い!あれはあまり質の良くないわさび独特の匂いだ!つまり、質の良くないわさびを使った物ということで、それは安かったはずだ!」
提督「ああ、確かにあのわさびはお世辞にも質が高いとは言えないな」
初月「ほら!だったら……」
提督「日本の物に比べて、な」
初月「……え?」
提督「わさびというものは、育てるのが非常に難しい。まともに生産できるのは、日本だけと言っても過言ではないだろうな。中国などで育てられているものは、ホースラディッシュであったり、微妙に品種が違ったりと、偽物ばかりだ。採算も合わないだろうし、これは仕方のないことなのだろうな」
初月「なら……!」
提督「しかし、一か国……いや、一か所と言うべきか。本物のわさびの味に感動し、本物のわさびを育て上げる事に成功したのだ。気候も違うだろうに……素晴らしいことだ。その偉業は、国際的にも報道された様だな」
初月「まさか……僕が食べたものは……」
提督「そう、イギリス産わさびだ」
初月「そんな……そんなあぁぁぁ!!」
秋月「それに……ね。輸入してから漬けるのは味が落ちるから……職人さんには直接行ってもらって漬けてもらったの……」
初月「秋月姉さん……僕を騙したのか?」
秋月「そんなことない!私はただ初月に美味しいわさび漬けを食べてほしくて……」
初月「それなら日本産の物を使えばいいじゃないか!どうしてわざわざ英国産の物を……」
秋月「…………ごめん……なさい……。食べて……みたかったの……」
提督「あえて海外の物を、しかもより高品質な物があるのに、それでも手間をかけてより質の低い物を食べる。最上の贅沢だな、なあ初月?」
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