過去ログ - 八幡「俺が仮面ライダーに……?」
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38:くすっち[saga]
2016/12/04(日) 15:42:57.69 ID:PnNgonjN0
特別棟の四階から一階までは、だらだら歩けば十分ほどはかかる。その間にはあいつらの
話も終わるだろう。
由比ヶ浜がどんな人間だろうが、これが初の依頼人だ。つまり、俺と雪ノ下の初の勝負だ。
ま、あいつに死んでもらうとかは冗談だが、やるからには勝たせてもらおう。
購買の前にある怪しげな自販機には、そこいらのコンビニでは見かけられない怪しげなジ
ュースがある。限りなく何かに似たそれらは、これでなかなかうまいから侮れない。
不気味な音を立てる自販機に俺は百円玉を入れる。マックスコーヒー、……あいつの分も
買ってやるか。
三人中二人だけってのもあれだな。ボッチは俺のポジションだ。簡単に譲る気はない。
「遅い」
開口一番、雪ノ下が放った言葉がそれだった。
俺の手からいちごミルクをひったくる。この野郎……。
「おい、二百円」
「は?」
「お前ナチュラルに踏み倒す気かよ」
「これは百円だったと思うけれど」
「人件費だよ」
「……?あなたの人件費なんてゼロでしょう?」
にっこり笑って雪ノ下は俺に百円玉を渡す。どうやらパシった分の料金はくれないらしい。
俺の手に残ったのはマックスコーヒーとスポーツドリンク。
それが誰の為のものなのか由比ヶ浜も気づいたらしい。
俺は黙ってスポドリを由比ヶ浜に渡す。
「ほい、お前の分だ」
「あ、なんかごめんね」
由比ヶ浜は俺に百円を差し出す。
「ああ、別にいいよ」
「そ、そういうわけにはっ!」
雪ノ下はともかく、由比ヶ浜の分は俺が勝手に買ってきたものだ。その分の金をもらうつも
りはない。
かたくなに金を渡そうとする由比ヶ浜だったが、俺が雪ノ下の方に歩いて行くのを見てあ
きらめたらしい。
「……ありがとう」
小さな声で笑うと、由比ヶ浜は微笑んだ。俺史最高の感謝の言葉だった。
満足して、俺は雪ノ下に話しかける。
「話は終わったのか?」
「ええ、あなたがいないおかげでスムーズに話が進んだわ。ありがとう」
俺史最低の感謝の言葉だった。
「……そいつはよかった」
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