16:名無しNIPPER
2016/11/24(木) 02:43:28.36 ID:lT9gdV3u0
男は「彼」を、天文台の屋上まで負ぶって連れて行った。女は何もせず、何も言わず、ただ夜を眺めていた。
「着いたぞ」
「彼」ーーー水晶に食われつつある男は、その一言で意識を取り戻した。結晶化が脳にまで及んでいる今、意識を保つだけですら苦痛の連続なのだろう。
それでも、彼は、
ありがとう、と言って、辛うじて動く右手で這って、
落ちて、砕けた。
男は、彼が最期に「きれいだ、ありがとう」と言ったのを聴こえない振りをした。
女はただ、黒い煙草に火をつけてから、彼だったもの、そしてそれと混ざり合ったものに一本落としてやった。
男「帰ろうか」
女「そうだね、今日は疲れた」
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