21:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 09:42:40.85 ID:zJemO0Izo
打ち上げ基地のドームは近づけば近づくほど荘厳な印象を私たちの目に焼き付けていった。
タクシーを降りて管理センターの入り口まで歩いて行く間にも街は形をそのままに緩やかな崩壊を続けていたけれど、
あなたが言うところの宇宙人のたまごは依然としてそこに意味を留め、私たちの巡礼を厳かに見守っていた。
中に入り、誰もいない密閉された廊下はどこまでも静かだった。
まるで過去から未来へ続くひとつなぎの時間を順々に辿っていくみたいに、ここでは全てが等間隔で、自動的だった。
まあ、どっちにしろ後戻りは出来ないし、気が変わるということもないだろう。
私たちは相変わらず無言だったけれど、ほとんど溶け合って一体になる寸前の二つの心は穏やかだった。
どれくらい進んだか分からない。
気が付くと廊下の突き当たりが見え、そこにはエレベーターが扉を開けて私たちを出迎えていた。
『展望台行き』
それだけだった。
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