6:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 17:42:29.18 ID:aK0UkAGEo
小さな火の玉が地平線の彼方へ落ちていった。
宇宙の暗闇に飲み込まれるように、それは次第に光を失って消えていった。
「本物の流れ星ですよ」
「あれがそうなんですか?」
「ロマンチックですよね」
「ロマンチック……ってなんですか?」
私がそう言うとあなたはなぜか怒ったように丘の草原に座り込んで黙ってしまった。
私はよく分からないままあなたの横に同じように腰を下ろして夜空を見上げた。
そうしている間にも人工星たちは光の線で結ばれていく。
ふいにあなたは私に寄りかかって切なそうに手を握った。
「美優さん、私なんだか眠くなってきちゃいました」
「だから言ったでしょう。いつもお仕事大変なんだから、たまの休みくらいはしっかり寝てください」
「うん……」
それきりあなたは何も言わなくなった。
私の肩にもたれかかって気持ち良さそうに寝息を立てている。
私は呆れながらあなたをそっと抱きかかえて膝枕を貸してあげる。
その安らかな寝顔の愛おしさに、つい指先で触れそうになるのを我慢する。
そんな事をすればきっと、あなたの夢を見る機械は壊れてしまうから。
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