過去ログ - 白菊ほたる「それは涙ではないのだから」
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2: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:28:36.35 ID:2h7CC88o0
しかし私の夢はまたしても不幸で潰され、よりによってこの素敵な人達を不幸の巻き添えにしてしまった。

プロデューサーさんが、気にしないようにと慰めてくれた。

スタッフさんが、すみませんと謝ってくれた。
以下略



3: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:29:58.86 ID:2h7CC88o0
謝って、謝り続けて、そして関係を終わらせるつもりだった。

それなのに。

「ほたるは悪くない。だから、夢を諦める必要はない」
以下略



4: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:31:16.09 ID:2h7CC88o0
途中からはプロデューサーさんの顔も見ていない。

一方的に無遠慮に気持ちをぶつけられて、きっと嫌な顔をしているだろう。

それとも、聞き飽きてうんざりした顔をしているかもしれない。
以下略



5: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:32:21.64 ID:2h7CC88o0
プロデューサーさんは捲し立てた私に何を思っただろうか。

怒っている?呆れている?驚いている?喜んで、はいないと思うけれど。

しかし恐る恐る見上げたプロデューサーさんの顔は、そのどれでもなく。
以下略



6: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:37:40.46 ID:2h7CC88o0
アイドルが一番やってはいけないこと。

ライブでの失敗、スキャンダル、歌詞を間違える、一方的にプロデューサーさんに愚痴る。

アイドルがやってはいけないことは思いつくものの、それが今プロデューサーさんが言う一番とは思えない。
以下略



7: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:39:06.90 ID:2h7CC88o0
そんな私の横で、プロデューサーさんは観客席の一角を指差した。

「あそこにほたるの名前が書かれた団扇を持ってる人達がいるだろう」

言われてその方向を見ると、確かに「HOTARU」という文字とハートマークが書かれた団扇を持っている集団が見える。
以下略



8: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:40:31.88 ID:2h7CC88o0
「さっきほたるは、夢を抱いていた時間は無駄だったと言っていたな」

「……はい」

プロデューサーさんが話をちゃんと聞いてくれていたことに驚く私の頭に、暖かい手が乗る。
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9: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:41:52.87 ID:2h7CC88o0
観客席をもう一度見る。

不安な顔、退屈そうな顔、心配している顔、楽しみにしている顔。

色んな顔が見えるけれど、一つだけ確かなことがある。
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10: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:48:03.57 ID:2h7CC88o0
「思い出しますね」

一年たった今でも、あの日のことはライブもプロデューサーさんの言葉も全部、昨日のことのように思い出せる。

きっと十年たっても変わらずに思い出せるだろう。
以下略



11: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:49:40.54 ID:2h7CC88o0
ステージの上はびしゃびしゃで、ライトなどの機材もいくつか故障してしまった。

観客スペースはもちろん誰もいないし、それ以前に渋滞などで来たくても来れない状態だそうだ。

私はというと、プロデューサーさんやスタッフさん達と一緒に控え室代わりのテントに避難している。
以下略



12: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:51:50.33 ID:2h7CC88o0
「ほたる、ちょっといいか?」

話し合いが一段落ついたらしく、プロデューサーさんが私を呼ぶ。

私は心の中で先に「ごめんなさい」と言ってから、プロデューサーさんの前に立った。
以下略



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