過去ログ - 白菊ほたる「それは涙ではないのだから」
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6: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:37:40.46 ID:2h7CC88o0
アイドルが一番やってはいけないこと。

ライブでの失敗、スキャンダル、歌詞を間違える、一方的にプロデューサーさんに愚痴る。

アイドルがやってはいけないことは思いつくものの、それが今プロデューサーさんが言う一番とは思えない。
以下略



7: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:39:06.90 ID:2h7CC88o0
そんな私の横で、プロデューサーさんは観客席の一角を指差した。

「あそこにほたるの名前が書かれた団扇を持ってる人達がいるだろう」

言われてその方向を見ると、確かに「HOTARU」という文字とハートマークが書かれた団扇を持っている集団が見える。
以下略



8: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:40:31.88 ID:2h7CC88o0
「さっきほたるは、夢を抱いていた時間は無駄だったと言っていたな」

「……はい」

プロデューサーさんが話をちゃんと聞いてくれていたことに驚く私の頭に、暖かい手が乗る。
以下略



9: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:41:52.87 ID:2h7CC88o0
観客席をもう一度見る。

不安な顔、退屈そうな顔、心配している顔、楽しみにしている顔。

色んな顔が見えるけれど、一つだけ確かなことがある。
以下略



10: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:48:03.57 ID:2h7CC88o0
「思い出しますね」

一年たった今でも、あの日のことはライブもプロデューサーさんの言葉も全部、昨日のことのように思い出せる。

きっと十年たっても変わらずに思い出せるだろう。
以下略



11: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:49:40.54 ID:2h7CC88o0
ステージの上はびしゃびしゃで、ライトなどの機材もいくつか故障してしまった。

観客スペースはもちろん誰もいないし、それ以前に渋滞などで来たくても来れない状態だそうだ。

私はというと、プロデューサーさんやスタッフさん達と一緒に控え室代わりのテントに避難している。
以下略



12: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:51:50.33 ID:2h7CC88o0
「ほたる、ちょっといいか?」

話し合いが一段落ついたらしく、プロデューサーさんが私を呼ぶ。

私は心の中で先に「ごめんなさい」と言ってから、プロデューサーさんの前に立った。
以下略



13: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 11:54:12.75 ID:2h7CC88o0
プロデューサーさんも私の我が儘を予想していたのだろう。

驚いた様子はなく、状況を伝えてくれる。

「見ての通り、観客は一人もいない。これから来るとも思えない」
以下略



14: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 12:04:16.30 ID:2h7CC88o0
だからこそ、私は選ぶ。あの日から一年間、ずっとそうしてきたように。

「歌います。歌わせてください」

「今は観客スペースには誰もいません。たぶん今日はもう誰も来ないと思います」
以下略



15: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 12:07:11.39 ID:2h7CC88o0
「一曲だ」

プロデューサーさんが溜息まじりに言った。

「天気がさらに悪化するかもわからない。だから一曲だけだ。それでいいか?」
以下略



16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2016/11/27(日) 12:09:30.89 ID:2h7CC88o0
そしてライブの準備。

「出来るだけ濡れないように、って言ってもこの雨じゃ無理よね」と苦い顔をする衣装スタッフさんにライブ衣装を着せてもらい。

「すぐ落ちちゃうけど、一応ね」と楽しげなメイクスタッフさんにお化粧をしてもらって。
以下略



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