過去ログ - 小梅「ありがとうを物語にのせて」
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3: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:10:19.14 ID:Uojde39To
丁度よく雷が落ちて、大音量とともに事務所を冷たい白に浮かび上がらせる。そのお陰で、きらりさんの肩が小さく跳ね上がるのがはっきり見えた。びっくりしてくれた。その事実についつい頬が緩みそうになるのを、なんとか押さえ込む。
「ぴいっ……!」
蘭子ちゃんみたいな声をあげて、きらりさんが耳をふさぎ込んでしまった。聞き手がいなくちゃ、怖いお話も意味がない。猛回転していた口を止めて、照明を付ける。蛍光灯の刺さるような鋭い光に目が眩みそうになって、私はちょっぴり眉を寄せた。
たくさん飾りの付いたきらりさんの服も、明るい光の元でカラフルな色彩を取り戻す。お仕事でもこういうポップな感じのものは着たことがないから、それが私服なきらりさんがなんだかとっても新鮮に思えた。
「えへへ、どうだった……こ、怖かった……?」
「怖かったにぃ! きらりのハート、飛び出ちゃうかと思ったゆ!」
涙を目の端に浮かべながら、きらりさんが「ふぃー」と豊かな胸をなで下ろす。そして、思い出したように窓の外に目を向けた。心配そうに小さく眉を寄せて、首を傾げるきらりさん。
「……雨、やまないねぇ」
「う、うん……プロデューサーさん、まだ、なのかな……」
きらりさんの言う通り、バケツをひっくり返したような、なんて表現が似合う光景がガラス越しに見えた。雨足が弱まるまで、と事務所に残っていたらきらりさんと一緒にプロデューサーさんに送ってもらう、という話になって、それを待っている間に来週のトークバトルショーの練習に付き合ってもらっていたのだ。
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