過去ログ - 小梅「ありがとうを物語にのせて」
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6: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:12:05.20 ID:Uojde39To
そのまま付けると、前方の棚に光りの円がパッと照射され、そこに何もいないことを明らかにする。これでもう大丈夫、と喜ぶきらりさんを後目に、私は少し、ほんの少しだけつまんないような思いを感じていた。久しぶりの暗くて落ち着く空間に対する名残惜しさ、のようなもの。
「あれ?」
そんな気持ちが通じてしまったのだろうか、急に光が消え、辺りがまた墨を垂らしたような暗闇に戻る。きらりさんが慌ててスイッチをかちかち切り替えてみるけど、一向に変化がない。
「ま、真っ暗に逆戻り……だね……」
嬉しそうに聞こえてたら困るけど、つい口に出してしまう。昔の自分に逆戻りしたみたいな気分だった。雨音に混じる誰かの声、部屋の隅からの無遠慮な視線。そういうものに囲まれているような感触が楽しくて嬉しくて。
だから、もう一度雷が落ちてきらりさんが小さく跳ねるまで、気が付かなかった。私の腰に優しく回された両腕や私を支えてくれている胴や足が、小さく震えていることに。
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