39:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:00:51.78 ID:WwkYnpYs0
『りっちゃん、ねむい?』
『いんや。まだまだいけるぜ』
『さっすがりっちゃんだね。じゃあもうちょっと飲む?』
『うーん、それもいいけど…ちょっと散歩でもしねぇ?』
とっくに閉まっていた旅館の玄関の自動ドアをこじ開け、わたし達は外へ出た。
高原の冷たい夜の空気が、酔った肌にきもちいい。
見上げた夜空には、信じられないくらいの星が存在していた。
高三の夏に夏フェスで見た夜空もすごかったけど、ここもぜんっぜん負けてない。
これがもし本当の星空なんだとしたら、わたし達が毎日見てる空はなんなんだろう。
わたし達、見てるつもりで何にも見てない、ってこと?
すっげーっ!、と声をあげたりっちゃんが駆け出した。わたしも慌てて追いかける。
『行こうぜっ』
前を行くりっちゃんが振り向いてわたしに手を伸ばす。その手を掴み、ふたり、走り出した。
わたし達は走った。夢中で走った。さっきまでしこたまアルコールを飲みまくってたことも忘れて走った。
こんなに時間に車が来るわけないし、道は広くてぶつかるものもない。
わたし達を邪魔するものは何もなかった。
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