6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:30:36.26 ID:WwkYnpYs0
「ごめんね、わざわざ迎えにきてもらっちゃって」
「ううん、わたしが唯ちゃんを呼んだんだし。それに唯ちゃんに早く会いたくって!」
と、ムギちゃんは言うけれど、わたしが心配だったに決まってる。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:31:24.43 ID:WwkYnpYs0
人混みの中をするすると歩くムギちゃんにぴたりと付いていく。
ムギちゃんは、大勢のひとごみの中をするすると進んで行く。
わたしひとりなら、ぶつかったり、まごついたり、ふらふらしてるうちに違うところに行っちゃいそう。
ふたつみっつと路線を乗り換え、わたし達は電車に揺られ続けた。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:31:53.11 ID:WwkYnpYs0
「ムギちゃん、すごいね。迎えに来てくれてよかったよ」
七年も住んでいればね、とムギちゃんはこともなげに笑った。
「そーいや、りっちゃんどうしたの?」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:32:30.14 ID:WwkYnpYs0
駅前の居酒屋に入って一時間くらいが経ったころ、ようやくりっちゃんが姿を現した。
肩を過ぎるくらいまで伸ばした髪に、軽くパーマをあてたりっちゃんは、ごめんごめん、と手刀を切りながら席に座り、手をあげて店員さんを呼び止めると、笑顔で生中をひとつ、注文した。
「唯、久しぶりなのにごめんな、遅れて」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:32:59.18 ID:WwkYnpYs0
「いつ以来だっけ? 唯と会うの」
「年末に会ったじゃん」
りっちゃんの生中がやってきた。ジョッキを掲げ、三人でもう一度、乾杯をする。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:33:48.26 ID:WwkYnpYs0
「そんなになるのかぁー…みんなで毎年旅行に行ってた頃が大昔に思えるな」
「しょうがないよ、りっちゃん。結婚したり、子供できたりしたらさ。カテイノジジョーってやつだよ」
「家庭の事情、ねぇ」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:34:30.27 ID:WwkYnpYs0
大学卒業。
さすがに就職先まで同じ、というわけにもいかず、高校大学とそれまでずっと一緒だったわたし達にようやく別れの季節がやってきた。
澪ちゃんは大阪、ムギちゃんは東京。わたしとりっちゃんは地元…だったけど転勤次第ではどうなるかわかんない。まだ大学生だったあずにゃんだって、就活の結果どうなるのかわかんない。
だからわたし達はひとつ約束をした。
13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:35:44.24 ID:WwkYnpYs0
「集まるだけなら、次は年末?」
軟骨のからあげを頬張りつつ、わたしが尋ねる。
「その前に梓ちゃんの結婚式よ」
お銚子を傾けつつムギちゃんが答えると、
14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:38:06.31 ID:WwkYnpYs0
「ハァァァ〜〜あずにゃんが結婚かぁ…わたしのあずにゃんが……」
「唯のじゃない、っての。しっかし最近、ウチの職場でも結婚ラッシュでさぁ…」
「りっちゃんとこも? わたしも先月三回も結婚式に出たからさ、財布カラッカラ…」
15:名無しNIPPER[sage]
2016/11/27(日) 18:38:14.76 ID:j1i+9VNXO
唯誕生日おめでとう
16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:39:06.62 ID:WwkYnpYs0
「ならないならない! だって事実わたし達かわいいもーん。だから結婚してなくたって、まだまだ焦る時間じゃないっしょー。
ほらー人生、長いんだから。それにけいおん部的にも独身勢が人数優勢! いえーい!」
わたしがムダに大きな声をあげてグラスを掲げると、ムギちゃんもそれに合わせてグラスを掲げた。
りっちゃんは顔をため息をついて呆れたように笑い、申し訳程度にグラスを掲げ、乾杯をした。
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