過去ログ - 佐久間まゆ「贈りたい。叶えることのできる、ぜんぶ」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/04(日) 19:49:21.64 ID:Zxb0cgbd0
「どうして、こんなえっちな本をたくさん持ってるんですかぁ!?」

「あー……いや、そのな?」

「一冊や二冊じゃありません。こんな、紐で縛らないと持ち運べないくらいたくさん……」

「……ごめんな。アイドルのプロデューサーとして、こういう物を持っているのはあまり健全じゃないのかもしれない。男だから、なんて言い訳はできな」

「違いますっ」

「え」

「えっちな本を持っている。そのことはべつに――それは、好ましく思うわけではありませんけど……でも、構わないんです。――さっきも言った通り、まゆはまゆに叶えられるものすべてを叶えて貴方へ贈りたい。贈るつもりです。でも、叶えられないものだってある。体格や性格、在り方。だからそんなまゆには叶えられない他のものを、プロデューサーさんがこういう形で望んで、発散してくれるのは構わないんです」

「えっと、なら」

「まゆが怒っているのは」

「怒っているのは」

「……数です。種類です。溜め込んだ本の数と、プロデューサーさんが選んだ本の種類ですっ」

「数と、種類?」

「こういう本を集めるということは、プロデューサーさんは欲求不満だったってことですよねぇ?」

「えっと、あー……まあ、そう、なのかな」

「そうなんです。――そしてそのことについてまゆは何も怒るようなことはありません。それは自然で、当然のことなんですから」

「うん。……なら」

「ええ。だから、まゆが何に怒っているのかというと」

「いうと?」

「……なんで。どうして、そのえっちな想いをまゆへぶつけてくれなかったんですかぁ!?」

「……え?」

「確かにまゆが叶えてあげられないものについては仕方ありません。《モデル体型で神秘的なお酒好きのお姉さん》《派手カワ誘惑JKギャル》《天真爛漫純真無垢な元気っ子》そんないろいろは、仕方ないと思います」

「あ、えっと、あの」

「ええ、仕方ありません。むしろそういうまゆには叶えられないものは、そうして健全に求めてもらった方が嬉しいくらいです。……でも」

「でも」

「でも、なんで。……なんでっ、どうしてっ」

「……」

「どうして、こんなまゆにそっくりな子のものまで持ってるんですかぁ!?」


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