981:名無しNIPPER[sage]
2017/03/26(日) 06:52:07.37 ID:r5E+Eazo0
海の見える穏やかな時間が流れた俺の大好きな街は、もう過去のもの。
様々な者の思惑が交錯し、それは時として暴力という形で露見した。
小競り合いはやがて大きな戦いを呼んだ。
最初は関係者のみで繰り広げられたそれは、やがて無関係な表の住人にも牙を剥いた。
国の政策も、警察の取り締まりも、最早追いつかない。
毎日、どこかで誰かが殺され、
毎日、どこかで違法なモノが行き来し、
毎日、人々は怯えている。
それでも、俺の周りにはちっぽけな幸せが満ちていた。
毎日、気心知れた仲間とつるみ、
毎日、母親の用意した温かいご飯を食べ、
毎日、笑顔が絶えなかった。
俺は、大切な人たちと共に暮らす、この街が大好きだ。
しかし、ちっぽけな幸せなどというものは、一瞬にして崩れ去ることを、初めて知った。
真っ赤に染まった家の中。
夕食の匂いに混じる、血の臭い。
喪われた、かけがえのない命。
非日常は、簡単に、日常を侵食していった。
俺は、大好きな人が住む大好きな街を、ちっぽけな幸せの満ちる日常を、取り戻したかった。
けれども、それは、待っていても取り戻すことはできない。
国も自治体も警察も無力なこの街で願いを叶えるには、自分が動くしかない。
誰も頼ることができないのなら、自分でやってやる。
それが、世間から見れば間違っている手段だったとしても。
「俺、マフィアになるよ」
この街に巣食い、この街を蝕むお前らと同じ場所に立ってやる。
お前らが好んで使う力で、お前らを消してやる。
俺は戦う。
この街が元通りになる、その日まで。
1002Res/269.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。