過去ログ - 卯月「…ここ…どこ…?」
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11: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:07:40.54 ID:XfSadNeEO
…。

「…」

「…ったく…なんたってそんなカッコであんなとこに居たんだよ…」

…。

この少年は、誰か。

恐らく、自分のことを呼んだ者だ。

だが、二人の間に面識は無い。

姉ちゃんと呼んでいたが、自分に弟はいないし、そんな間柄の人間もいない。

髪の色も、目付きも違う。

つまり、自分の名前を知らないから、そう呼ぶしかないということだ。

「…」

「…?おい、おーい…」

考えれば、考えるほど、自身の頭が思考停止するのを感じる。

寝て起きて、ただ頭が働いていない。

そんな類のものではない。

はっきりと、自身の頭が、考えることを拒否している。

「…!!!?」

だが、あまりにも強烈な光景は、そうそう忘れられるものではなかった。

「……ウッ…」

「え?お、おい…大丈夫かよ…」

背中をゆっくりとさする少年のことなど一切考えず、昨日胃に入れたものを全て吐き出す。

「おえぇ…」

「…まー…そりゃ女が見るもんじゃねえよなぁ…」

女が見るものではない。

それどころではない。

あれは、この世のものではない。

あんなものが世に出ているなら、とっくの昔にテレビに出ている。

あまりにおぞましい。
あまりに醜悪。

ではない。

単純に、恐ろしい。

それ以外の言葉は、不要。

「…ほら、水。ゆっくり…」

「…ありがとう…ございます…」

差し出された水筒の水をゆっくりと口に含み、ゆすぐ。

その後、喉が渇いていたことに気がつき、水を貪るように飲み出す。

少年はそれに対し何もアクションを起こすことなく、ただただそれを見守っていた。

これが微笑ましいものならば、多少の苦笑もあったものだが。

今の彼女には、それは皆無だということは、自分でも瞬時に理解出来る。


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