143: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/21(水) 23:12:36.91 ID:ylE/K+2dO
「…貴様は、失敗作などではなかったか…」
誰に呟くわけでもない独り言。
この事を誰かに報告することはない。
「…」
勝負はまだ動ける自分の勝ち。
「…」
のそり、と自分の武器を手に取る。
「…」
薙刀を未央の首に当て、振りかぶろうとする。
「…」
だが、それでいいのだろうか。
「…」
これは、勝ちと言えるのだろうか。
「…貴様…」
本来なら、もう一人二人の子供が武器を持って自分の鎧の穴の空いた部分に突き立ててもおかしくはない。
それに未央もわざわざ鎧部分を攻撃せずとも、勝つ方法はあった。
「子供に、情けをかけられるとはな…」
手加減したのは、自分ではなかった。
「…申し訳ありません。マリバロン様…」
この勝負を行方を決めるのは、自分には出来ない。
つまり、これは勝ちだの負けだのということではない。
「…情けをかけられるなど、クライシス帝国怪魔妖族筆頭の名折れ。最早何も言いますまい」
武陣は、静かに薙刀を降ろし振り返る。
「この勝負、貴様の勝ちだ」
これからどうするか。
自身の雇い主は、何と言って怒るだろうか。
その前に、許してくれるだろうか。
恐らく、命は無いのだろう。
そう、思っていた時だった。
「ねえ」
「む?……グッッ!!?」
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