18: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:13:14.42 ID:XfSadNeEO
「…」
ただ、振り解こうとした。
肩を掴んだ男の手を振り解こうと、腕を掴み返しただけだ。
するとどうだろう。
自分よりもはるかに屈強な大の男が、紙くずのように吹き飛んでいったのだ。
そしてそのまま、後ろの男にタックルをかましたところ、その男もまた、面白いように吹き飛んだ。
その光景に驚いた山賊達は未央に対し、容赦無く凶器を振りかざした。
だが、その動きは、あまりにも遅かった。
自分の目にスロー再生される彼らの動きは、まるで殴ってくれと言わんばかりだった。
だから、思わずその者達に、手を出してしまった。
「…」
人生で初めて本気で握った、拳。
あまりにも、一方的。
それは喧嘩ではなく、ただの暴力。
「…」
多少の罪悪感はあるが。
「…」
携帯があれば、救急車でも呼べるのだが。
なにぶん今の自分には携帯はおろか、財布も食料も無い。
あるのは、ただ一つ。
「…ダイヤの、カード…」
ダイヤのマークが入った、金属製にも見えるカード。
これが一体、何を意味するものなのか。
この状況下で、どれだけ役に立つのか。
そして、自分の身体に一体、何の変化があったというのか。
「…んー…」
今の彼女には、全く分からない。
「…考えても、しょーがないか…」
カードをポケットに戻し、振り向く。
「…悪いのは、そっちだからね」
後ろで伸びている男達にそう呟き、また真っ直ぐ歩き出す事にした。
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