193: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/25(日) 20:42:48.49 ID:W711z8WcO
「…凜ちゃん。未央ちゃん」
ようやく、地上に降りてきた卯月。
彼女は、二人を見て、心配そうな表情を浮かべる。
だが、すぐに笑顔を見せた。
「…卯月ちゃん…?」
「美嘉さん。大丈夫です。私が元に戻しますから」
「え…」
この絶望的な状況下において、彼女はまだ希望を捨ててはいない。
卯月はカードを二枚、懐から取り出し、もう一度二人に微笑みかける。
彼女は、何をするつもりなのか。
その根拠も、何故そうするのかも、説明は出来ないが。
だが彼女が何を思い、何をするのかというのは一瞬で理解出来た。
「…まさか…!?」
「美嘉さん。大丈夫ですから」
「…!駄目!!卯月ちゃん!!」
皆のマイナスな感情を全て、受け入れる。
そうすることで凜も未央も元には戻るのかもしれない。
「そんなことしたら、今度は卯月ちゃんが…!!」
その問いかけに、彼女は答えない。
答える事は出来るだろうが、美嘉の期待する答えは持ち合わせていないのだろう。
「卯月ちゃ…」
「美嘉さん!!!」
「…ッッ…」
制止しようとする美嘉を黙らせ、卯月は彼女に顔を向ける。
右側に、緑。
左側に、赤。
二つの光を、身体に受けながら。
そして彼女は、微笑みかけた。
「…私が暴走したら、躊躇わずに倒して下さいね?」
「…!」
「…さよなら」
「…!!卯月ちゃん!!!」
大粒の涙を、流して。
214Res/201.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。