37: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/07(水) 22:49:31.32 ID:+F7bQ51XO
「ウヅキ!そこから逃げろ!そいつらは触覚に触れたものしか食わない!」
「…カズマ…君…」
声のする方向を向くと、そこには傷だらけのカズマ。
どうやら足に深い傷を負っているらしく、こちらに来ることが難しいようだった。
その瞬間、ここで、何がどうなったかを確信した。
あの大ムカデが、今度は大群で押し寄せたのだ。
そして、この村の人間を、貪り食ったのだろう。
先程の刺激臭の中で、最も強い臭い。
それは、この村の人達の、血やその中にあったもの。
「…」
カズマの声に幾ばくか冷静になり、辺りを見渡す。
「…」
散乱する、人だった、もの。
食べ辛かったのか、細かく裂かれた服。
シュレッダーにでも通されたように細かく砕かれた、身体。
原型など留めているわけもなく、皆、ただの肉片と化していた。
「…みんな…」
皆、食われたのだ。
「…私の、せいで…」
その悲劇に、彼女は責任を感じずにはいられなかった。
「…私が、来たから…」
その時だった。
卯月の中の、一つの感情が増幅する。
それは、悲しみ。
自分を責める、負の感情。
そして、その感情が彼女の中で大きくなっていくほど、カードの光が増していく。
やがて、その光は卯月を包み込む程にまで膨らんでいった。
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