5: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:03:11.35 ID:XfSadNeEO
助けを求めるでもない叫びを上げた後、卯月は再び自分の置かれた立場に目を向けた。
何処かも知らない場所。
寝間着のままの自分。
まず頭を過ったのは、誘拐。
「…」
しかし自分は家で寝ていた。
親もいる家で、誘拐されるのは考えづらい。
しかし、実際にそうなったとしたら親はどうなっているのだろうか。
「…ママ…パパ…」
このような状態であっても自分の身よりも自身の親を心配するのは、彼女の長所と言うのだろうか。
「…」
携帯は、ベッドの下にある。
財布は勉強机の上にある。
それでも今、自分が持ち合わせているもので何かこの状況をほんの少しでも打破出来る物が無いか、一縷の望みのかけズボンのポケットをまさぐった。
「…?」
それは、ポケットに手を入れた瞬間、どんな物なのかが判別出来る物だった。
「…カード…?」
それは、見たことも触ったこともないだろう、一枚のカード。
「…?」
スペードのマークが刻まれている事から、トランプの一種だと考えたが、どこを見ても数字は書いていなかった。
「…よく…分からないけど…」
しかし、普通でないのはそれだけではない。
そのカードは、異常なまでに、硬い。
臀部のポケットに入っていてシワの一つもつかないのだ。
「…」
触ってみたところ、やはりどう考えても紙やプラスチックなどの柔らかいものではない。
「…」
しかし、これが何の役に立つのか。
必死に考えたが、何一つ思い浮かばなかった。
「…!」
その時だった。
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