過去ログ - 卯月「…ここ…どこ…?」
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57: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/12(月) 21:19:18.15 ID:lzTNMFTYO
「…あ」

「はい?」

ふと、未央が立ち止まる。

振り返り、彼女を見ると、何か良いことを思いついたらしい顔。

そして卯月が声を掛けるよりも先に、彼女は口を開いた。

「あのさ、ここには魔物、とやらがいるんだよね?」

「…は、はい…」

「…ならさ、私達が退治するってのはどうかな?」

「…た、退治ですか…?」

魔物の退治。

それはつまり、あのような戦いを何度も繰り広げるということ。

それを思い描いた瞬間、卯月の脳裏に蘇る光景があった。

血塗れの、自分の手。
胴体がちぎれそうな、カズマ。

最後に残ったのは、傷だらけの腕。

「…ウッ…」

「え、あ、ご、ごめん!!ごめんなさい!!」

「おぇぇ…」

たまらず、吐く。

胃の中身を全て出しても、まだ足りない。

「…本当、ごめん…」

「…だ、大丈夫…です…」

軽口を叩いたと、自分の頭を思いっきり殴る。
卯月のトラウマを、思い出させてしまったと。

彼女はカズマの死を、自分のせいだと感じている。
例え事実がどうであっても。

そのような状態で、またあの力を発揮しろというのは、無理があった。

「…」

だが、それはあながち間違ってはいない。

そう、卯月自身も思ってはいた。

しかし、身体は真逆の反応を示していたが。

「…ケホッ…ケホッ…」

「ほ、本当に…ごめん…」

「…もしかしたら、この力は…」

「…む、無理しなくて良いから…」

「…良いんです…」

「え…?」

「…もしかしたら、魔物達を、退治してほしいって…」

「…」

「…その為の、力なのかもしれません…」

「…」

口元を拭い、前を見据える。

涙は流し尽くした。

覚悟は決まった。

そう示したものの、未央の目に映ったのは、あまりにも頼りない背中だった。


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