過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝Re】２ -SS速報VIP

過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝Re】２

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811:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[saga]
2017/12/31(日) 15:37:16.86 ID:Ya9olV/D0
「全く、どうして私がこんなことを……」

内心の憤りが気づかぬうちに漏れている。
彼女の思いを一言で言うならば、不本意。
そう、彼女は不本意の塊であった。

鴉の濡れ羽色。或いは緑なす黒髪。
彼女の容色においてまず目に入るのはその髪であろう。
もちろんそれだけではない。
あらゆる意味で彼女は完成されていた。
意思の強さを思わせる目、引き締まった体格でありながら豊かな胸。
彼女の容色を賛美するだけで一編の詩集ができるであろう。
そんな絶世の美女が何をしているかというと。

「おねーちゃん！お酒追加ね！あと串焼き盛り合わせも！」

給仕（ウェイトレス）、であった。

「はい、煮込みお待たせしました！空いた器下げますね！」
「おう、姉ちゃん、相変わらずべっぴんだねえ、今度よかったら俺と……ぶぺ？」
「当店はそういうお店ではありません。出直してください！」

はあ、とため息をつくのは誰あろう、関羽である。
セクハラまがいの客の言葉には慣れた。慣れてしまった。
セクハラというか、痴漢行為そのもののあしらいも身に着けた。身に着けてしまった。
今の彼女はこの店の看板娘。売るのは料理と酒、そしてわずかな愛想。
武？尻やら胸に伸びる手をさばくのに大いに役立っている。

「それもこれも、あの小娘め……！」

関羽は自分をこのような境遇に追いやった人物を思い浮かべる。
韓浩、と言ったか。貧相な体躯で武人とはよく言ったものである。袁家の、紀家直参と言ったか。

「程度が、知れる……！」

矛を交えれば三合と言わず切り捨てられるであろう。あれが幹部というなら紀家とやらも知れたものだ。

いささか八つ当たりに近いという自覚はあるものの、韓浩に対する悪感情は留まることを知らない。
そもそも自分は武人であるのだ。それを！

関羽は自分が庶人に媚を売るに至った経緯を思い出す。
思い出して楽しくなるような記憶ではないのだが。

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