11: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/12/09(金) 22:53:40.00 ID:81cm0N8d0
「えっ、待って。あれ、本気だったの」
「本気です。いまも」
泣いたからか開き直っているらしい。言葉に付随する意味を理解して、それでもなお、ありすちゃんは堂々と言った。
だとしたら、ぼくはしっかり答えるしかない。それが大人としてのあり方だ。
「ごめん。さすがに結婚はできないよ。法的に許されてもさ」
「それは私と結婚できないという意味ですか?」
「歳の差がありすぎる」
「いまどき十二歳差なんてありふれてますよ」
「……そうなんだけどさ。少なくともいま、ありすちゃんは子供だろ。悪いけど、恋愛対象にはならない」
悪意的な言い訳。だけど、事実ぼくは大人でありすちゃんは子供だ。それもまだ中学生。どんなに言い繕ってもこの構図は変わらないし、この構図が変わらない以上恋愛対象にはならない。無責任な言葉は避けたかった。
そうですか。ありすちゃんはなんでもなさそうに言う。その声音はどこか楽しそうに聞こえて、ぼくは困惑する。
「この先もずっと恋愛対象外ですか? たとえば私が二十歳になっても、もしくは大学を卒業しても、ずっと対象外ですか?」
難しい質問だった。
それは、
「どうだろう。正直、そこまでは考えてなかったから」
「でしょうね。つまり、可能性はあるということです。だから改めて言います。待っていてください。私が大人になるまで、待っていてください」
あまりに自信満々な言い草に、ぼくはおかしくなって吹き出した。
「もし対象外のままだとして、その頃にはもう三十五歳だよ。結婚できなかったらどうしてくれるんだ」
ありすちゃんは笑う。自信満々に笑う。
「そのときは、私が結婚してあげますよ」
やっぱりおかしくなって僕も笑った。
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