8: ◆1aBMjONGbo[saga]
2016/12/11(日) 02:01:56.29 ID:jikEwRPVO
ヒューは視界に映る状況を理解すると立っていることすらままならず腰を抜かしへたりこむ。
床についた手は散らばっていた鏡の破片が突き刺さり血が出たものの、それを意に介す素振りをも見せることなく、ただこれだけ呟いた。
ヒュー「悪魔……」
男、いや悪魔はケイシーの腕の『食べ残し』を無造作に捨てたかと思うと、ヒューへと向き直る。
ヒュー「ひっ」
ヒューは何も考えられず、ここに居たら殺されるという直感のみに身を委ねケイシーの部屋から脱兎のごとく駆け出した。
鉄砲玉のように走るヒューだったが、後ろからの声に振り返る。
悪魔「……ケケケ…ヒハハハハハハ!!!」
悪魔の耳障りな笑い声。どうやら悪魔はヒューのことを『おかわり』とみなしたらしい。
その目には躊躇や情けなんてものは砂一粒程も感じられず、狂気と殺意だけがむき出しの刃物のような鋭い瞳をしていた。
階段を駆け下り、リビング横のキッチンへ入るヒュー。冷蔵庫を背に身体中の震えと筋肉の弛緩による失禁が止まらなかった。
ヒュー「は、ハハ……ハァ……」
乾いた笑いもすぐに消え、入れ替わるようにキッチンに悪魔が姿を現す。
悪魔はその牙から涎を滴らせ、いつの間にか左腕も黒く大きくなっている。その腕を大きく振りかぶり、ゆっくりと、獲物を追い詰めるように近づいてくる。
ギラギラと光る悪魔の目は次の食料への純粋な期待に爛々と輝いていた。
────その輝きが、ヒュー・スクリントンの最期に見たものだった。
14Res/12.28 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。