過去ログ - 箱崎星梨花「バズーカを担いだサンタさん」 -SS速報VIP

過去ログ - 箱崎星梨花「バズーカを担いだサンタさん」

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1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:02:46.60 ID:hqejuYr50

　リンリン、シャンシャン、ぷっぷかぷー。
　
　楽し気に響く鈴の音と、陽気なメロディが街を彩り始めると、
　ああ、今年もまたこの時期がやって来たのだと実感する。
　
　敷地内に併設された劇場から、事務所本館へと繋がる渡り廊下。

　そこを行く箱崎星梨花は遠く、風に乗って流れて来るクリスマスナンバーに耳を傾けながら、
　冬の寒さにかじかむ両手を「はぁ～」っと息で温める。
　
　それから彼女は、ひとりでにこぼれる笑みを隠し切れずに「えへへ、てへへ」なんてだらしなく顔をゆるませた。

　
　別に先ほどまでやっていた、劇場でのレッスンが特別上手く行ったとか、
　これから楽しいイベントが待っているというわけじゃない。

　それでも星梨花が、こうして微笑みを隠し切れないでいるその理由は単純に、彼女がワクワクしていたからだ。
　ワクワクさせられるだけの雰囲気というのが、この時期の街には溢れてるのだ。

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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:03:58.52 ID:hqejuYr50
　
　ライブの前に感じる緊張混じりの物とは、また違う別の高揚感。

　お祭りや催しの前の準備期間に感じる、ウキウキとした楽しい気持ちとでも言うべきか。
　それはクリスマスの夜がやって来るよりも大分早く始まって、星梨花の心をドキドキと見事に逸らせる。

3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:07:10.28 ID:hqejuYr50
===

「えへへ、おはようございます！」

　あわてんぼうの星梨花サンタが、次の予定までの空き時間を過ごすためにやって来た休憩室の扉を元気に開ける。

4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:09:33.74 ID:hqejuYr50

　そう、一見。あくまで一見した印象で語るなら、である。
　
「……お二人は、一体何をなさってるんですか？」

5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:11:07.26 ID:hqejuYr50
　
　そうして覚えておいて頂きたいのは、そんな彼女に質問した星梨花本人もまた、
　あの水瀬財閥――よりは少々規模は小さいものの、箱崎家のお嬢様。正真正銘本物の、純粋培養箱入り娘なのである。

「いいなぁ、サンタさんへのお手紙なんて……素敵です！」

6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:15:39.99 ID:hqejuYr50
　===

「瑞希ちゃんごめんね？　まさか、暴発するなんて思ってなくて……」

「いえ、多少驚いてしまっただけですし。……もう大丈夫です、はい」

7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:18:21.09 ID:hqejuYr50
===

　さて、閑話休題である。
　
　部屋の掃除をすっかりと終わらせてしまうと、コタツを囲んだ三人は各々、

8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:21:12.32 ID:hqejuYr50
　
「麗花さんも、サンタさんにお願いするんですか!?」

　驚いたように星梨花が言うと、麗花は「もちろん！」と答え。
　

9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:22:58.93 ID:hqejuYr50
　
　けれども、星梨花はそんな二人の言葉に納得するどころか、
　ますます困ったように眉をひそめて「親から見れば？」ぽつり、聞き返すように小さく呟く。
　
「……それって、麗花さんのお父さんもサンタさんってことですか？」

10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:26:09.47 ID:hqejuYr50
　
　世界とは意外に狭いものなのだということを感じつつ、驚きに固まる両者の姿に、
　良識を持った人間ならばきっとこう声をかけたに違いない。
　
「麗花の父親がサンタだなんて、そんなことあるわけないでしょっ!?　

11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:27:34.13 ID:hqejuYr50
　
　だが、悲しいかな――いや、サンタを信じる二人にとっては幸運なことに、
　麗花はそんな誰とも違うリアクションを二人に返してくれたのだ。
　
「し、知らなかった……！」

12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:29:27.61 ID:hqejuYr50
　
「でしたらこのお手紙は今ここで、ニコライ北上さんにお渡しした方がよいのかもしれませんね」

　そう言って瑞希の差し出した封筒を、麗花がためらうことなく手に取ろうとした時だ。
　

13: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/11(日) 20:29:56.98 ID:hqejuYr50
とりあえずここまで。

14: ◆Xz5sQ/W/66[sage]
2016/12/11(日) 20:37:19.23 ID:hqejuYr50

箱崎星梨花
i.imgur.com
真壁瑞希
i.imgur.com

15:名無しNIPPER[sage]
2016/12/11(日) 21:33:45.59 ID:EgTVrAhDo
おつ、期待

16:名無しNIPPER[sage]
2016/12/11(日) 23:42:23.79 ID:GZbILxdYo
ツッコミがいない…！

17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/12(月) 00:46:19.02 ID:YlaM8IQU0
　===

　……いやいや、ちょっと待って欲しい。さすがに物語はこんな唐突には終わらない。終われない。

　突拍子もない麗花の『サンタクロースなります宣言』に待ったをかけられる少女の存在を、忘れてしまっては大変だ。

18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/12(月) 00:48:25.84 ID:YlaM8IQU0
　
　どちらにせよ、星梨花がその理由を答える前に、麗花は「分かった！」という風にポンと手を打った。

「ふふふっ。心配なんていらないよ？　サンタクロースが着てる服のことなら、きっと衣装室にあると思うから♪」

19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/12(月) 00:51:19.00 ID:YlaM8IQU0
　
　するとそれまで黙って二人の話を聞いていた、瑞希がここぞとばかりに手を上げる。
　
「私に、いい考えがあります」

20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/12(月) 00:52:35.57 ID:YlaM8IQU0
　
　けれども麗花は、申し訳なさそうに「瑞希ちゃんの気持ちは嬉しいけれど」と前置きしてから。
　
「でもそうすると、私は瑞希ちゃんにプレゼントを届けに行けなくなっちゃうよ？　
　……サンタクロースは、いい子が眠ってる間にやって来るものだから」

21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/12/12(月) 00:54:27.20 ID:YlaM8IQU0
これで大体半分ぐらいかな？　とりあえずここまで。
なんとか今やってるガシャが終わるまでに完結させたい所存です。

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