過去ログ - フレデリカ「怪談ごっこ、その1」
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14: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/12/13(火) 16:18:24.95 ID:Y7jwP/KDO
翌日、当然ながらフレデリカさんと杏さんは江ノ島へ撮影に出掛けました。
事務所の部屋には、肇さんと私しかいません。
昨日本によって見せられた未来と同じ様に、静かな部屋です。
目の前にコーヒーはありません、丁度お湯が切れていたので。
「フレデリカさん達が居ないと静かですね」
「二人は…確か、江ノ島へ撮影に行っていますから」
結局、この本はなんなんでしょうか…
謎は解けず、けれど考えるのを放棄する事も出来ず。
なんとなく開いてみれば、丁度12-15のページでした。
必ず…その日のページが開かれるのですね
そんな事を考えながら、ページの端に指を掛けて…
「…本当に大丈夫ですか?文香さん」
「…え?私、何かしましたか…?」
唐突に、肇さんに話し掛けられました。
私は特になにもしていません。
周りから見ればいつも通り、本を捲ろうとしていただけです。
「いきなり、フレデリカさんと杏ちゃんは何処へ?だなんて…」
「…私、そんな事は言ってな…」
そこで、思い出しました。
昨日、本によって今日へ跳んだ時。
確かに、私は肇さんにそう質問した、と。
「…大丈夫です。なんでもありません」
私は改めて、この本の恐ろしさを理解しました。
この本を通して形作られた事柄は必ず現実になり。
一度作られた現実の通りに、私は行動してしまい。
そして過去の私が何かを行った場合、その日にいる私の意識はその間完全に無くなってしまう事。
つまり、この本によって今の私が上書きされてしまう事。
…二度と、開かない様にしましょう。
そう固く心に誓い、本は部屋の奥へとしまう事にしました。
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