8: ◆S6NKsUHavA[saga]
2016/12/15(木) 22:00:15.58 ID:TASUOcfu0
「……かわいく、って、どうすれば良いんだ……」
あの人には、「売り込むかどうかは別にして、お前の外見はなってない」って言われた。「外見は内面の一番外側だから、そこがショボいと中身もショボく見られる」とか、「人を見た目で判断するカスに不当に値踏みされる」とか、結構酷いことを言われたような気がする。言ってることは、何となくは分かるんだけど、ね。
素材を生かせとも言われたけど、私には何をすれば良いのか全然分からなかったんだ。別に見た目が良いわけでもないし、当時は今より背も低かったし。服装のセンスも無いから、いつも同じような服を着てたしね。
そこで、あの人の髪型のことを思い出したんだ。あの人は、ウェービーヘアの一房だけ編み込んでリボンを付けてた。私も、髪はあの人と同じくらい長さがあるし、あんなにキレイなウェーブは付いてないけど、銀色の髪は珍しくて褒められたこともある。だから、ちょっと真似してみようなって。
でも、それがなかなか上手く行かなくて、ね。髪を結うのも初めてだし、本を見ながら何とか形にしようと頑張ったんだけど。
「……なんか、全然違うぞ……」
あの人の編み込みは頭のてっぺんからキレイに編み込まれてたんだけど、私がやると、どうしても下の方だけになっちゃってね。そう、今みたいな感じ。それに、リボンなんて持ってなかったから、学校の帰りに初めて近所のお店で買ったんだ。何がかわいいかなんて分からなかったから、本当に適当なリボンを買って。それで、あの人みたいに編み込んだ髪にくくりつけたら……まぁ、お世辞にもかわいいとは言えなくて。
「こ……これは……絶対かわいくない、ぞ……」
何回かやり直してみたんだけど、結局どうにもならなかった。仕方が無いから、またあの人に会ったときにやり方を聞いてみようと思って、しばらくそれで過ごすことにしたんだ。
ちょっとした事件が起きたのは、その三日くらい後、だったかな。
いつもの公園には、小さな滑り台があるんだけど、その下がドームみたいになっててね。その中は誰も使ってなかったから、私の秘密基地になってたんだ。シイタケの原木栽培に挑戦してて、そのドームの中に原木を立てかけて育ててた。近くに水道もあるし、水を撒いておいたらずっとジメジメしてるから、キノコ栽培には最適だったんだ。
それに、あそこは音も通りにくいから、小さなCDプレイヤーを持ち込んでメタルを聴いたりもしてたんだ。流石に大きな音を出すと近所迷惑になるから、小さい音だけどね、フヒ。
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