過去ログ - 小日向美穂「高く、飛べる」
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14: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2016/12/16(金) 23:05:11.22 ID:oKvYaFDpo

 次の日。
 いつもより早くレッスンルームに入り、私は鏡に向かいます。

「うふふっ♪ ……ほんと、ひどい顔」

 鏡の中の自分に言葉を吐き、私は祈るように目を伏せます。

「頑張れ……私。昨日を超えよう……」

 そして目を開け、ステップを踏み始めます。
 ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト。
 ワン、ツー、さんっとっ、しっとっ、ファイブ、シックス、ななとっ、はちとっ。
 ところどころ速いステップを挟んで。基本を繰り返し繰り返し。何度も。

 はあはあと、息の音。きゅっきゅっと、シューズの擦れる音。
 私は、ひとつひとつ繰り返します。
 どのくらい時間も経ったか忘れるくらい、ひたすらに。

「美穂ちゃん、おはようございます!」

 声をかけられて振り向くとそこには。

「卯月ちゃん……響子ちゃん……」
「えへへ♪ たぶん来てるんじゃないかなあって」 そう言って駆け寄る卯月ちゃん。
「久しぶりに三人で練習したくって!」 そう言う響子ちゃん。

「二人とも……うん、久しぶりに三人で、練習したい!」

 そして私たち三人は、時間の許す限り練習をしました。昨日を、自分を、超えたいと思いながら。
 頑張れ、今日の私。
 見守っててね、明日の私。

 きっと、飛んでみせるから。






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