過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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171: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2016/12/28(水) 19:51:59.55 ID:HiFRyoCx0

*「ラグレイさん もう 動けるんですか?」

少女が去った後、男は村人たちの手により青年の家に運ばれていた。
ベッドを取り囲むように村人たちは居間に集まり、男の容態を心配そうに見つめている。

ラグレイ「ええ おかげさまで この通りですっ!」

そう言って男は得意げにチカラこぶを作ってみせる。

ニコラ「いやあ 一時は どうなるかと 思いましたよ。」

家主の青年が安堵の表情を浮かべて言う。

ラグレイ「ニコラどの それに アルスさん。本当に 申し訳ない。」
ラグレイ「村の 皆さんにも たいへん ご迷惑を おかけしました。」

そう言うと男はベッドの上で深々と頭を下げた。

アルス「……これから どうするんですか?」

少年の問いかけに男がゆっくりと頭を上げて答える。

ラグレイ「伝説の英雄を語った わたしの 罪は 大きい。」
ラグレイ「わたしの処遇は 村のみなさんに 決めてもらおうと 思います。」

そう言って男は辺りを見回す。

*「なーに 言ってんだ ラグレイさんよ。」

近くにいた荒くれ男が語り掛ける。

*「確かに あんたは 伝説の英雄でも なんでもないかもしれねえけどよ。」
*「俺たちは あんたの おかげで 命を 拾ったんだ。」

*「あなたは こんな わたしのために 命をかけて 助けてくれじゃない。」
*「ごめんなさい ラグレイ。あなたは 確かに 英雄だったわ。」

顔を紅潮させた女性がまなじりの涙をすくいながら言う。

*「そうだよ! あんたを 英雄と呼ばないで なんていうんだい!」

*「そうだ! 俺たちの村には 英雄が ちゃんといたんだ!」

*「あんたは ニセモン なんかじゃ 決してねえぜ!」

ラグレイ「みなさん……。」

次々と賛辞を飛ばす村人たちの中で、少年がそっと声をかける。

アルス「ラグレイさん。ぼくたちは確かに 魔王を倒して 世界を救いました。」
アルス「でも ぼくらには 助けたくても 助けられなかった命が いくつもあります。」
アルス「だけど あなたは 自分の意思で… その力で 多くの人の命を 守り通したんです。」
アルス「……ぼくには とても できないことだ。」
アルス「伝説の英雄でも 偽りの英雄でもない。あなたこそ 真の英雄です。」

ラグレイ「あ アルスどのっ…! わたしは… わたしは……!」

そこまで零して男は遂に泣き崩れてしまった。皆が見ているにもかかわらず、流れる涙を惜しみもせず、声を押し殺して静かに泣いていた。



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