過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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20: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2016/12/24(土) 00:03:20.49 ID:8lPBK+pa0
アルス「嘘だね。」

マリベル「!」

ピクっと肩を揺らし、少女は驚いた様子で少年の方に向き直る。

少年は構わずに問い詰める。

アルス「コック長に見つかって 父さんが降りてきたとき いつもなら ブーブーいう だけだったのに あの時は 真剣な目をしてた。」
アルス「譲れない理由が あったんじゃないの?」

マリベル「…………………。」

少女はしばらくの間少年の目を見つめていたが、やがて視線を逸らし、くせっ毛を押さえつけている頭巾をほどいて諦めたように呟いた。

マリベル「…なによ アルスのくせに。いつもは 鈍感にぶちんのくせに こういうと時だけは やけに 鋭いんだから。」

アルス「…………………。」

マリベル「…………たの…。」
マリベル「……あんたの 初めての漁を ……見届けたかっただけよ!」

アルス「マリベル……。」

マリベル「ずっと 夢だったんでしょ? ボルカノおじさまの 後を継いで 一人前の漁師に なるんだって。」
マリベル「世界を救って あんたは 本当は なんにでもなれたのに。」
マリベル「シャークアイさんの 後を継いで 海賊の総領にだって… リーサ姫や グレーテ姫と 結婚して 王さまにだってなれたかもしれないのに。」
マリベル「生まれたころから 一緒だったのに なんだか いつの間にか あんたが 遠いところに行っちゃうような気がしてた。」
マリベル「…それなのに アルスは フィッシュベルで 漁師になることを選んだ。」

ポツリ、ポツリと呟くにように言葉を紡ぎだし少女は俯く。

マリベル「…………………。」
マリベル「うれしかったのよ。網元の娘っていう立場上 あたしは ここを離れるわけにはいかない。けど アルスは違う。でも……。」
マリベル「でも……。」

アルス「マリベル。」

マリベル「…………………。」

アルス「さっき 父さんが きみに 自分の心に素直になれって言ってたけど…。」
アルス「ぼくも 父さんと同じだ。」
アルス「世界を旅してきたからこそ マリベルなら 自分のやりたいことが 見つけられたんじゃないかと思う。」
アルス「マリベルが どこかへ行っちゃったらさみしいけど ぼくは どんなことだって マリベルのことを 応援したい。」
アルス「……ねえ 聞かせてくれないかな マリベルの 本当の気持ち。」
アルス「きみは 本当は どうしたいの?」

そういって今度は少年が少女の方に向き直る。

少女は船べりにかけた白魚のような手を見つめたまま微動だにしない。

マリベル「…………………。」
マリベル「アルス どうしてあたしが あんたやキーファに 付きまとって パパとママの反対を押し切って 旅に出たり したと思う?」
マリベル「旅を重ねて どんなに危険な目にあっても…。」
マリベル「どれほど つらい現実を突きつけられても…。」
マリベル「…なんど…こころが…おれかかっても…ずっと……。」
マリベル「…………………。」
マリベル「最初は ただの好奇心だって… のけ者にされたくないからだって… そういう風に言い聞かしてた。」
マリベル「でも違ったのっ! あたしは ただ…、」

声の震えも忘れて少年を真っすぐに見つめる。







マリベル「…ずっと あんたと いっしょに いたかったからよっ!!」



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