過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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◆N7KRije7Xs
[sage saga]
2016/12/24(土) 00:06:23.53 ID:8lPBK+pa0
少女の翡翠色のまなこから一筋の涙が伝った。その透き通る瞳から溢れた水は天からこぼれた雨水のように彼女の足元を濡らしていく。
マリベル「あたしは…」
これまでずっと誤魔化し続けた感情が、とめどなく溢れる雫となってボロボロと流れ出す。
マリベル「…あたしは…… アルスと 一緒にいたい。」
マリベル「あんたが……漁師でも……海賊でも 関係ないっ!」
マリベル「あたしは… あんたが いなくちゃ ダメな……っ!?」
突然視界が真っ暗になり、体が窮屈さを覚える。
一瞬何が起こったのか少女は理解できなかったが、やがて体を包む温もりに自分が少年に抱きしめられていると気づいた。
マリベル「あっ… アルス?」
アルス「…………………。」
アルス「……ごめん。」
”ごめん”
という言葉の真意をわかりかね、少女は自分の頭からサッと血の気が引くような感覚を覚え、途端に体が小さく震えだす。
その様子を体越しに感じて少年は何を思ったか、抱き留めていた体を少しだけ離し、彼女の顔を見て絞り出すようにゆっくりと語りだした。
アルス「ぼくが……。」
アルス「ぼくが どうして あんなに 過酷な旅を 続けてこられたと思う?」
マリベル「えっ…?」
アルス「どんなに 危険な目にあっても どれほど つらい現実を突きつけられても 何度 心が折れかかっても…。」
アルス「何度だって立ち上がれたのは どうしてだと思う?」
マリベル「…………………。」
少女は上向き、溢れる涙で霞んだ目で、静かに、ゆっくりと、
いつの間にか頭一つ分追い越されてしまった少年の顔を、すべてを包み込む闇夜のような目を見つめる。
アルス「マリベルが そばに いてくれたからだ。」
マリベル「アルス……。」
アルス「どんな時でも きみが いてくれたから 頑張れた。」
アルス「だって ぼくは……。」
そう言い出したとき、少年はこれまでの少女との思い出が走馬灯のように頭に浮かんだ。
そこに映るどんな表情の彼女も、今、少年にとっては宝物のように感じられた。
そして、温かくこみ上げる衝動にたまらず少年は白状する。
アルス「だって ぼくは きみが 好きだから。」
マリベル「っ………。」
刹那、少女はその瞳に意識を吸い込まれるような感覚を覚える。
否、吸い込まれていったのは少年の方なのかもしれない。
気づけば少女は瞳を閉じ、少年にすべてを預けていた。
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