過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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349: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/04(水) 19:41:11.72 ID:NuDoDGza0



*「女王さま サイードさまを お連れいたしました。」



女王「ありがとう。少し 下がっていてください。」

*「わかりました。では 終わりましたら お呼びください。」

そう言って侍女は玉座の周りから人払いをし、自らもそこを後にする。

サイード「お呼びでしょうか 女王さま。」

女王「そう 堅くならないでください。」
女王「…この度は 本当に ご苦労様でした。」
女王「あなたの働きのおかげで 人質となっていた使いも 村にいた移民も 無事帰ったと聞いております。」

サイード「いえ わたしは アルスの指示に 従ったまでです。これといって 称えられるような ことは しておりません。」
サイード「そればかりか このように お褒めの言葉を みなからも そして あなたからも いただいてしまい 恐れ入るしだいです。」

女王「よしてください。たとえそれが 救い主さまの指示だとして 最終的に決断したのは あなた自身のはずです。」
女王「わたしたちは あなたの 勇気ある決断に 救われたのです。」
女王「それを 自分は何もしていないだなんて…… そんなこと 言わないでください。」

サイード「……!」
サイード「申し訳ございません 女王様…っ!」

女王の言葉に自分が恥ずかしくなり、青年はただ頭を垂れ謝るしかできなかった。

女王「…………………。」
女王「顔を 上げてください。みなの前で そんな姿を 晒してはいけません。」

女王はそれを制止し、近くに来るように手招くと青年の目を見据えて言う。

女王「サイード あなたは 次の族長にはならないのですか?」

サイード「…わたしは もっと 広い世界を旅し まだ知らない土地を歩き 人々と出会い 別れてみたいのです。」
サイード「それに 族長は 兄たちの役目。わたしは 元からなるつもりは ありません。」

女王「それが みなの 望まないことであってもですか?」

サイード「…………………。」
サイード「今の兄たちであれば 大丈夫でしょう。」
サイード「…女王様 ありがとうございました。 それでは。」

女王「待って!」

背を向け、その場を立ち去ろうとする青年の腕を女王が掴み引き止める。

その様子に気付いているものは誰もいないようだった。

女王「待って サイード。本当に 行ってしまうのですか……?」

サイード「…………………。」
サイード「いつか……。」
サイード「わたしが 旅を終え 人として成長して 帰ってきた時……。」
サイード「その時までに 族長のなり手が 見つからないようであれば わたしが 引き受けましょう。」

女王「…………………。」

そこまで言ってようやく青年は振り返ると、自分の首元に隠されていた控えめな首飾りを外して女王の手に掛ける。

サイード「祖父の形見です。わたしが 戻るまでの 担保として お持ちください。」
サイード「捨てていただいても かまいません。父や 兄に 渡していただいても かまいません。」
サイード「しかし! この 砂漠の民 サイード いつの日か 必ずや 故郷であるこの地に 再び 帰ってきましょう!」

女王「それでは……!」

サイード「また お会いしましょう。われらが 砂漠の女王 ネフティス。わが 君主よ。」

一度だけ微笑みかけ、青年は二度と振り返らなかった。

女王「…必ず お待ちしております!」

青年の大きな背中に投げかけた女王の宣言は寂しげでもあったが、どこか確信を持った力強さもあったのだった。




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