過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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381: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/05(木) 19:46:48.83 ID:jh5nLVyG0



*「むっ 霧が出てきたな……。」



それは真夜中過ぎのことだった。

昼間の温かさとは打って変わり急に辺りの空気が冷え込み、あれよあれよという間に漁船は霧の海に囲まれてしまったのだ。

*「ボルカノさん どうしやす!」

ボルカノ「少し速度を 落とすぞ。羅針盤を頼りに 進むんだ。」

*「ウスッ!」

アルス「…………………。」

ボルカノ「どうした アルス。浮かない顔だな。」

アルス「…ううん 何でもないんだ。」

ボルカノ「霧が不安なのか?」

アルス「そうじゃないんだ。ただ……。」

ボルカノ「……?」

アルス「この前みたいなことが 起きなければ いいんだけどね。」

少年の脳裏にはクレージュに到着する前に出くわした霧と謎の船の影が浮かんでいた。

“あの霧はいったいなんだったのか”

“あれはいったい何者だったのか”

考えたところで答えはでず、確かに父親の言うように募る不安はあった。
だがそれは進路が見通せないことからではなく、何者かがこの船を付け狙っているという危機感からくるものだったのだ。

ボルカノ「アルス お前 そろそろ 休憩の時間だぞ。いいのか?」

アルス「いいんだ 父さん。この霧が止むまで ぼくも ここにいるよ。徹夜は慣れてるから 心配しないで。」

ボルカノ「それなら いいんだが 体を壊すなよ?」

アルス「わかってる。」

父親に短く返すと少年は神経を張り詰めさせて辺りの様子をうかがうことに徹した。
まるで失われた世界での野営を思い出させるかのような感覚に、
少年の心にどこか高揚とも落胆とも言えない妙な感情が渦巻いていった。

ぎらつく眼差し、研ぎ澄まされた神経、冷えていく身体は氷のように固まり意識のある物質のように動かなくなる。

いつしかその腕は獲物の鞘に掛けられ、今にでも臨戦できる体勢となっていた。

ボルカノ「…………………。」

”ぼんやりとした眼差しに柔らかい表情”

そんな今まで家族の前で見せてきた顔からは想像もできない少年の姿に、
父親は“英雄”としての面影を見た気がしていた。




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