過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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◆N7KRije7Xs
[sage saga]
2016/12/24(土) 11:56:25.16 ID:8lPBK+pa0
少年は振り向いた少女の腰から背中に腕を回し、自分の頭を少女の体に近づけるとそのまま心臓をめがけて顔を埋没させた。
突然の少年の行動に何をされているのか分からず少女はしばし少年の黒髪を見つめていたが、
やがて彼が感触を確かめるように顔を左右に振り始めると稲妻よりも早く腕を突き出した。
甲高い悲鳴とともに少年が突き飛ばされて仰向けに寝転び、ゴンっという鈍い音と共に少年が頭を抱えて痙攣する。
“いったい何が起こったのか”と辺りにいた者が一斉に振り向けば、
そこにはぴくぴくと体を震わせる少年と腕を突き出したまま肩で息をする真っ赤な少女がいるだけだった。
アルス「…………………。」
リーチを告げるスロットの音と誰の物とも分からぬ心臓の音だけがやけにうるさい。
マリベル「…………………!」
マリベル「……アルス?」
アルス「…………………。」
少女の呼びかけにも答えず、遂に少年はピクリとも動かなくなった。
マリベル「アルス!」
気づけば少女は先ほど感じた羞恥の感触すら忘れて少年を抱き起していた。
マリベル「ちょっと アルス しっかりしなさいよ!」
肩を揺らされ少年は意識を取り戻す。
アルス「んん…。」
アルス「マリベル… ぼくは いったい…。」
マリベル「…………………。」
頬を染めたまま額を青ざめさせるという器用な芸当をやってのける少女の姿がそこにはあった。
マリベル「アルス…。」
マリベル「…………………。」
アルス「…………………。」
アルス「っ……!!」
名前を呼んだきりなにも言わない少女と、黙ったまま二人を見つめる観衆を交互に見やり、
少年はぼんやりとさきまで自分の身に起こっていたことを思い出し、声にならない声を一人上げる。
*「あら〜 たいへん! 英雄様には まだ 刺激が 強すぎたかしらね〜。」
騒ぎを聞きつけて階下からやってきた踊り子と係員が申し訳なさそうな、
それでいて面白おかしそうな顔をしながら、目をぱちくりさせる二人に謝る。
*「ごめんなさいね〜 お客様方。あら? そっちのスロット…」
マリベル「…えっ?」
係員に指差された方を皆が振り向くとそこにはすっかり勝負を始める前の状態にもどったスロットマシーンがあった。
当たりを報せる照明を点灯させている点を除いて。
マリベル「うそっ…!?」
そこには確かに『 7 7 7 7 7 』のパネルが一直線に並んでいた。
*「おい 嘘だろっ!?」
*「お お……。」
*「おおあたり〜〜〜〜!」
係員が叫ぶと、どこから取り出したのか、踊り子がラッパの軽快な音色でカジノ全体に奇跡の訪れを報せるのだった。
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