過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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◆N7KRije7Xs
[sage saga]
2017/01/13(金) 20:09:02.68 ID:ZKa88jEr0
突如放たれた言葉に耳が追い付かず、少年は目を丸くして身じろぎする。
*「オレは 人を 襲ってなんていない。」
あれほど固く動かないと思われた顔はいつの間にか険しく寄り、飾りのようだった口は流暢に動いている。
アルス「そ それじゃ あの人たちは お前におびえて 逃げてきただけだと 言うのか?」
*「そうだ。」
アルス「なら どうして 逃げたりしたんだ。」
*「お前の目は 敵意に満ちていた。だから 逃げただけだ。」
アルス「……ここに 逃げたのは なぜだ?」
*「見ろ。」
そう言って隻腕の像は後ろにある止まったままの歯車の方を向く。
アルス「その歯車は どうして 止まっているんだ。」
少年は“稼働”の方に倒れているレバーを見ながら言う。
*「この時計塔と オレは 不思議な魔力で つながっている。」
アルス「…………………。」
*「どうやら この時計塔の近くにいると オレの身体は動くようだ。」
アルス「じゃあ 離れたら……。」
*「動けん。だが オレは バロックの作品だ。」
*「長い時を 人々と共に 過ごしてきた。オレは この町が好きだ。」
*「しかし こうして 体が動いてしまっては 人々は オレを恐れるだろう。」
アルス「…………………。」
*「人間よ オレはどうすればいい。」
*「オレはこの町にいたい。だが この町にいては 人がいなくなってしまう。」
名もない作品は問う。
アルス「きみは 自分が 動けなくなっても 構わないのかい?」
アルス「せっかく 自らの意思で 動けるチカラを 手に入れたのに。」
*「…構わん。もともと オレは あそこで 立っているのが 好きなのだ。」
*「一心不乱に オレの体を観察する芸術家。楽しそうに オレの周りで遊ぶ子供たち。」
*「話し相手になってくれる 小鳥たち。愛の素晴らしさを教えてくれる 恋人たち。誰に頼まれるでもなく 体を洗ってくれる老人。」
*「……これ以上 望むものはない。」
アルス「…………………。」
少年にはこの像が前に石版世界で戦った者たちのように、ただ彷徨い、生ある者に害するような魔物には見えなかった。
アルス「わかった。ぼくも できるだけのことはしてみよう。」
アルス「ついてきて。」
そして決心すると少年は“彼”の望みを叶えてやるため、彼を連れたって時計塔を後にしたのだった。
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