過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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681: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/14(土) 18:23:15.91 ID:I8BPs1sh0

その女性はさざ波のように淡く優しい声で出迎えた。

マリベル「あなたが アニエスさんね。」

少女は自分の仮説を証明しようと臆せずに問いかける。

アニエス「いかにも 私はシャークアイの妻の アニエスです。」
アニエス「こんな姿を お見せしてしまい さぞ 驚かれていることでしょう。」

マリベル「いいえ。アルスや海底王から 話は聞いていたわ。」

アニエス「……あなたは マリベルさんですね?」

マリベル「どうして あたしの名前を?」

アニエス「夫や アルスさんから お話をうかがってます。」
アニエス「よくぞ アルスさんを支え 魔王を打ち倒してくれましたね。」
アニエス「本当に ありがとう。」

マリベル「い いや 別にあたしは そんな……。」

素直な感謝の言葉に珍しく少女は狼狽え、少年の袖を少しだけ引っ張る。

“なんとか言ってよ。”

とでも言いたいのだろうか。

アルス「アニエスさんは はるか昔に この船が 魔王に封印された時 夫のシャークアイさんへの想いから こうして 人魚に姿を変えて 生きてきたんです。」

少年は漁師たちに彼女が現在の姿に至るまでの過程を噛み砕いて説明する。

マリベル「で それをやったのが 海底王っていう へんな おじいさんってわけ。」

少年の助け舟に乗っかって少女も付け加える。

アルス「へんな は余計だよ マリベル。」

”借りにも目の前にその人にお世話になった人がいるのにそんなこと言って大丈夫だろうか”

そんなことを考えながら少年は慌てて釘をさす。

マリベル「あんなところで 寝てるだけのじいさんの どこが 変じゃないっていうのかしら?」

アルス「そりゃ そうだけど……。」



ボルカノ「……にわかには 信じがたい 話だな。」



その時、話を聞いていた漁船の船長が重たい口を開く。

アニエス「無理もありません。最初は私も わらにもすがる思いで 海底王さまに お願いしたのですが…。」
アニエス「こうして人魚となってからも しばらく 実感がわきませんでしたから。」

ボルカノ「…………………。」

漁師頭は難しそうな顔で腕を組んでいる。

マリベル「…ははあ。海底王が シャークアイさんに 用があるってのは アニエスさんと 会わせるためだったのね。」

すると少女が魔王討伐の凱旋の時にシャークアイが言っていた言葉を思い出して言う。

アニエス「ええ。魔王の封印が溶け こうして また 夫に会える日が来るなんて 夢のようでした。」
アニエス「たとえ この体が 一年に一日しか 歳を取らないとしても 私は最後まで 夫の傍にいるつもりです。」

*「そりゃ また 難儀な……。」

漁師の一人が気まずそうな顔で言う。

アニエス「いいえ いいんです。」
アニエス「こうして 夫と 再び 同じ時を生きることができる。それだけでもう 私に 望むものは ありません。」

そんな漁師たちに気遣ったのか人魚は気丈に微笑んでみせる。




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