過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
1- 20
730: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/15(日) 18:41:21.53 ID:8S3LzPGC0



アルス「王さま どうやって ここと 交易するつもりなんだろう。」



月が頂を目指してちょうど半分まで空を登った頃、少年とその父親は漁師の家を出て宿へと向かっていた。

ボルカノ「さあな。まあ 外部からの働きかけがありゃ ここも なにかしらの 決めごとをする体制が できるだろ。」

代表者のいない以上、村民が集まって集会を開くなりなんなりするのだろうが、今はそれすら収集する人間がいない。
しかし今回のように他国や他の大陸の町と交流せざるを得ない状況となっては
いずれ大事な取り決めをするための機関なり人間が現れるようになるだろう。

少年の父親が言いたいのはそういうことであった。

アルス「だと いいんだけどね。この村の人たち のほほんとしてるから。」

ボルカノ「……アルス それ お前が 言えたことか?」

アルス「むっ 失礼な! これでも ぼくは 父さんと母さんの息子なんだよ?」

ボルカノ「わっはっは! ……そういやよ。」

楽しそうに笑ったかと思えば父親は急に神妙な顔になる。

ボルカノ「オレが思ってるこたあ 昨日 言ったとおりだけどよ。お前は どう思ってんだ?」

アルス「…………………。」

“自分には二つの両親がいるということを”

父親の言わんとしていることはそういうことだろうと少年にはすぐに理解できた。
そして立ち止まり、この旅が始まる前から思っていたことを正直に語りだすのであった。

アルス「確かに 血のつながりは ないのかもしれない。」
アルス「でも ぼくを産んで ここまで 大きく育ててくれたのは 紛れもなく 父さんと母さんだ。」
アルス「ぼくにとっては 二人とも 本当の両親に変わりない。」
アルス「……だからさ ちょっと 嬉しんだ。」

ボルカノ「ん?」

アルス「ぼくを 息子として 愛してくれる人が この世に 4人もいるんだなって。」
アルス「普通の人なら どうやっても 2人なのにね。」
アルス「こんなこと言うのも 恥ずかしいけどさ…… いま ぼくは 幸せだな。」

ボルカノ「……そうか。」
ボルカノ「帰ったら 母さんに話すのか?」

父親の言葉を受け少年の脳裏に家で待つ母の笑顔が浮かぶ。
恰幅の良い体と海原のように広い心でいつも少年を包み込んでくれた母の顔が。

アルス「……うん。本当のこと話して スッキリしたい。」
アルス「それでさ 言ってあげるんだ。」



アルス「ぼくは 母さんの 本当の息子だってさ!」



ボルカノ「……そうか!」

父親はニカっと笑うと黙って歩き出す。
どうやら聞きたかったことは全て聞き終えたらしい。

少年にはその表情は見えなかったが大きなその背中はどこか満足げに見えたのだった。



ボルカノ「なにしてんだ 早く いくぞ。」



アルス「あ うん!」

いつまでたってもついて来ない少年に痺れを切らした父親に催促され、少年は駆け足でその背中を追う。

親と子の時間は、再び動き出したのだ。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1492.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice