過去ログ - 佐々木千枝「今日は特別な日だから」
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2: ◆WJfkFowgA.[sage]
2016/12/25(日) 00:54:44.94 ID:7LMOLEw2o
365日のうちのたかだか一日、と強がってみてもこの国では12月24日は大切な人と過ごす日だと根強くインプットされている。
恋人たちにとっての特別な日であるクリスマスの予定は仕事だ、と言えばと同情的に見られることだろう。
だけどそこに、売り出し中の小学生アイドルと一緒という文面をつけてみるとどうなるか。間違いなく、石を投げつけられる。
「プロデューサーさんとクリスマスのお仕事……楽しみですっ」
担当アイドルの千枝は屈託のない笑みで嬉しいことを言ってくれる。千枝は大人びたところもあるけど小学生なんだ、この日くらいは
家族や友達と一緒にケーキやチキンを食べたかっただろうに。正直なところ、本人が喜んでいても大人の都合で仕事を入れてしまって罪悪感はある。
「プロデューサーさんは……千枝と過ごすの、楽しくないですか?」
「えあっ!? そ、そんなことないよ! むしろこうやって千枝と過ごせて俺の方も嬉しいよ」
心の中を読まれたのか顔に出ていたのか。なんにせよ、不安にさせるような真似は良くないな。
無理やり取り付くったようにも聞こえるかもしれないけど、俺自身千枝と過ごせるこの日を楽しみにしていた。
決して恋人がいないから、とかそういうのではないぞ。
「えへへ、おんなじですね」
「……そうだな」
千枝の楽しいと俺の楽しいは違う。自惚れるわけじゃないけどあの日千枝の担当になってから
いくつもの楽しい時間も苦しい時間を過ごしてきて、彼女の俺を見る目が変わっていたことは気付いていた。
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