過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
1- 20
17:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:25:09.82 ID:O8fGFwM8o

*

 一変した景色が花丸を一瞬だけ混乱させた。
だが、すぐに状況を飲み込んだ。善子言う所の寝落ち、というものをしていたらしい。
現に、目の前に映るは見慣れた自分の部屋だ。
函館の夜景はタブレットの液晶画面上で停止している。

 花丸は溜息を吐くと、窓の外に目を向けた。
東京や北海道の都市部とは違い、静岡の山間部では月明かりが夜の主要な光源となる。
照らされるは、殺風景な枯れ果てた田舎の冬景色だけだ。
それが、現実のはずだった。

「ずらっ?」

 花丸は我が目を疑った。窓の外では白い粉が舞い降りている。
月の光を反射しながら踊るそれは、散乱する金粉のようにも見えた。

「雪ずらーっ」

 花丸は炬燵から身体を抜き、窓に駆け寄った。
静岡でホワイトクリスマスなど、いつ以来になるのだろうか。
少なくとも花丸の人生においては初だ。

 この記録的な瞬間を、できれば善子と相伴して迎えたかった。
適わぬならば、せめて眼前の降雪を二人分味わい尽くそう。
花丸は目を眇めて雪に見入った。

「んー?」

 だが、花丸の没頭も長くは続かなかった。
眺めているうちに、花丸の頭に違和感が兆してきたのだ。
降雪の勢いの割に、木々に雪の積もる気配は見当たらない。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
26Res/30.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice